• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

新興国における部品・材料企業の戦略・組織に関する調査・研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530498
研究機関関東学院大学

研究代表者

伊藤 誠悟  関東学院大学, 経済学部, 講師 (80612275)

キーワード自動車部品 / 調達現地化 / 国際開発分業 / 新興国調査
研究概要

本研究は、自動車部品の生産・流通システムの変化と、その変化に伴う部品・材料の開発プロセスへの影響を明らかにすることを狙ったものである。
自動車部品の生産流通実態の調査資料を経時的に分析するためのデータ整備を行っている。それらのデータを基に自動車産業の垂直統合度やサプライヤーシステムの構造変化の実態を把握することに努めている。同時に聴き取り調査を行い、それらの要因を明らかにすることに注力している。
昨年度に引き続き新興国での国際分業のあり方について自動車部品サプライヤーの戦略立案セクションと議論を行った。並行して自動車サプライヤーシステム研究会及びグローバル自動車産業研究会と連携し、2次サプライヤーの海外進出状況把握のためのアンケート調査を実施し報告書を作成した。
海外の調査ではタイとベトナムのサプライヤーを訪問し聞き取りを行った。インド、インドネシア、中国、タイ、ベトナムとアジア圏の新興国を調査してきたが、深層レベルでの現地化状況はかなり異なっていることが判明した。特に重要な部材や複雑な部材は日本からの輸入に頼っていることが多いが、その内容はローカル部品企業の歴史と鉄鋼などの材料産業基盤の違いにより異なっており、現地化戦略の制約条件となっている。どの部材を、どの程度、どの時期までに現地調達を実現するかは日系自動車メーカー及び自動車部品サプライヤーにとって重要な問題であるが、地域毎に異なっており、グローバルソーシングの全体戦略は描きにくいというのが現状である。次年度は部材調達の欧州企業との比較を行うことで議論を深める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでインド、インドネシア、中国、タイ及びベトナムに渡航し、現地実態の調査を実施した。日程の制約や調査対象先の都合もあり調査予定先で訪問できなかった企業もあるが、本研究で多面的に支援をしていただいている株式会社デンソーの拠点は全ての国で訪問し、現地経営者と意見交換をしている。現地化の実態の理解とより踏み込んだ視点での開発分業に関する調査は着実に進展している。
調査当初は韓国の部品サプライヤーとの比較分析を重視していたが、アジア圏の新興国では想定していたほど韓国系サプライヤーの存在感がなく、むしろ欧州系との比較の重要性が確認された。本社と新興国の現地拠点との開発分業については、デンソーやボッシュなどのメガサプライヤーは戦略的に機能分担を進めているが、そのような企業はごく少数であることがわかってきた。
調査開始当初の仮説とは異なる結果も発見されたが、実態把握は着実に進んでおり論点が明確になってきている。今年度はメガサプライヤーの日欧比較に焦点を当て実地調査をすることで更なる貢献を目指すことができると考えている。

今後の研究の推進方策

次年度も引き続き新興国の現地調査を実施する。タイとインドネシアの追加調査を実施する予定である。欧州企業との比較を行うためドイツへの渡航も検討している。当該年度は国内での研究者との議論や、1次サプライヤーの国際分業に関するアンケート調査を実施し、その成果を学会や研究会で報告する。また、定量データにより日本のサプライヤーシステムの構造変化を把握し、その要因を析出する。
昨年度までに問題意識を持っている開発機能の国際分業についてもメガサプライヤー(デンソー、カルソニックカンセイ、ケーヒンなど)への聞き取り調査をし、欧州企業との比較を交えながら実態把握と今後の論点を整理し、研究会等で報告する。
次年度は最終年度であることから、3年間の活動を総括し、仮説が検証できた部分と調査過程で修正が迫られ未検証になっている部分を明確に報告するとともに、課題を抽出し今後の研究活動につなげる。

次年度の研究費の使用計画

予定した海外渡航調査の1回分が3月までに実施することができず、次年度に繰り越されたため。
次年度の8月~9月にかけて未実施の海外渡航調査を計画している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件)

  • [雑誌論文] 製品開発における技術選択要因-自動車エンジンマネジメントシステムの事例-2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤誠悟
    • 雑誌名

      関東学院大学経済学会研究論集「経済系」

      巻: 259 ページ: 52-66

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 自動車部品における製品アーキテクチャの形成プロセスに関する一考察2014

    • 著者名/発表者名
      及川忍・伊藤誠悟
    • 雑誌名

      日本経営工学会論文誌「日本経営工学会論文誌」

      巻: 64 ページ: 543-556

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中小企業の事業創造に関する一考察2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤誠悟
    • 雑誌名

      関東学院大学経済経営研究所年報

      巻: 36 ページ: 18-27

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Toshiba Information Equipment [Phils.] Inc-フィリピンの東芝HDD・SSD生産会社-2013

    • 著者名/発表者名
      大石芳裕・伊藤誠悟
    • 雑誌名

      日本流通学会誌「流通」

      巻: 32 ページ: 86-90

  • [雑誌論文] 技術変化が企業行動に及ぼす影響に関する一考察2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤誠悟
    • 雑誌名

      関東学院大学経済学部総合学術論叢「自然・人間・社会」

      巻: 55 ページ: 77-94

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi