研究課題/領域番号 |
24530501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
玉井 由樹 愛知淑徳大学, ビジネス学部, 助教 (50547362)
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研究分担者 |
西澤 昭夫 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80257435)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | クラウドファンディング / 疑似エクイティファンド / 東日本大震災 / ベンチャー / 中小企業 / 再生 / エンジェル投資 / ギャップファンド |
研究概要 |
東日本大震災以降、日本においてクラウドファンディング(Crowdfunding)と言われるインターネットを通じた新しい資金調達の仕組みが広がり始めている。金融庁は、震災以降、我が国でのクラウドファンディングの広がりを受け、ベンチャー企業がインターネットを使って資金調達を行えるための新制度の検討を始めた。 本研究はこのクラウドファンディングの「寄付型」「貸付型」「購入型」「投資型」のうち、今後、本格的な活用が検討されている投資型について、金融商品取引法の制定・実施に伴い可能となった被災地応援ファンドを事例とし、「疑似エクイティ投資ファンド」と位置付け、この投資ファンドの形成・現状・機能・成果を分析することにより、被災地中小企業に対する新たな資金供給形式となるだけではなく、創業期のベンチャー企業に対する金融イノベーションとなりえる可能性を示すことを目的としている。この研究目的に従い、本年度は被災地応援ファンドの実態調査と併せてアメリカの大学発ベンチャー企業創業に係るクラウドファンディングについても調査を行い、現地研究者と意見交換を行った。 特に、被災地応援ファンドについては、初めにファンドの形成過程についてファンド運営会社、事業者、ファンド運営会社と事業者を仲介した人物にヒアリング調査を行い、形成過程を明らかした。次に、複数の事業者に対して、ファンド形成過程、資金調達の現状、ファンドでの資金調達による成果についてヒアリングを行った。また、出資者が集まるファンミーティングに参加し、出資者に対して出資するまでの過程、出資目的などについてヒアリングを行った。 アメリカの調査では、JOBS法制定後の投資型のクラウドファンディングの動向と創業期の大学発ベンチャーに向けクラウドファンディングの活用に関して最新の動向について知ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の中心課題は被災地域における「疑似エクィティ投資ファンド」の全体像の把握と、その機能、効果を分析・評価することであったが、ファンド運営会社、出資者、事業者に対して複数回のヒアリングを実施し、多くの情報を得て、新たな仮説の抽出が行うことができた。また、英米及び日本で展開されてきた中小・ベンチャー企業向けエクィティ投資促進策の資料収集について、英米研究者と情報交換を行い、その動向を把握することができた。ただし、本年度の計画のうち、契約の準拠法に遡って各ファンドの類似性と差異性を区分するため、ファンドの規制機関である東北財務局や関連機関のヒアリングについては実施が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度の分析結果を踏まえ、被災地応援ファンドについてファンド運営会社、出資者、事業者に対してのヒアリングや関連団体へのフィールドワークを継続して進めていく。特に、出資者に対しては出資を決定するプロセスや出資目的、出資に対する評価および投資先企業に対する評価について前年との違いも視野に入れながら調査を行っていく。また、事業者に関しては、ファンドによる資金調達が復興へどの程度寄与したのかについて経年変化を調査していきたいと考えている。また、この結果を踏まえ、日本において「疑似エクイティファンド」が被災地中小企業の再生だけではなく、創業期のベンチャー企業の資金供給制度となりえるのか、エンジェル投資やギャップファンドへの転用可能性について英米の比較をもとに行っていく。そのため、今後は英米への実地調査も予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定の研究費が生じた理由として3月に行う調査が4月にずれたためであり、次年度においては国内調査の回数を増加させる予定である。
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