研究課題/領域番号 |
24530502
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研究機関 | 愛知東邦大学 |
研究代表者 |
田村 豊 愛知東邦大学, 経営学部, 教授 (40340400)
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キーワード | 生産エンジニア / 生産マネジメント / スウェーデン・モデル / ドイツ・モデル / 日本的生産モデル / 管理中間層 / 標準作業管理 / 改善活動 |
研究概要 |
①本研究の課題は、スウェーデン、ドイツ、日本の生産をコントロールする生産エンジニアの行動様式を比較し、彼らの行動がそれぞれ各国工場での生産マネジメントの特性、生産性、生産管理様式にどのような影響を及ぼすのか明らかにすることにある。検討では日本の生産マネジメントを評価基準として、3つのモデルの特質を検討する。そして日本企業のもつ生産マネジメントの方法が、今後も継続可能なのか整理する。 ②本研究の意義は、各国、各企業の生産モデルの進化過程の特徴を、生産エンジニアの行動様式に視点を当てて明らかにする点にある。生産エンジニアは生産マネジメントの重要な管理ポジションを占ている。エンジニアの行動様式には、その地域、その企業、その工場が培ってきたマネジメント特性が、色濃く反映されていると推測され、エンジニアの行動様式と生産モデル進化の関係は、技術進化と組織進化の関係を検討する上でも重要な領域である。 ③本年度は9月に、スウェーデン工場でのヒアリング調査を実施した。スウェーデンのヒアリングでは、ボルボ自動車のエンジン工場(シェーブデ工場)、最終組立工場(トシュランダ工場)、スカニアのトラック組立工場(セーデルテリエ工場)、キャビン組立工場(オスカシャム工場)をそれぞれ訪問した。また、ボルボなどでの生産コンセプトの設定に参加してきたチャルマス工科大学を訪問し、研究交流を行い、スウェーデンでの生産コンセプトの進化過程、生産システム設計についての情報をえることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①調査のねらいであるエンジニアの行動様式の比較については、スウェーデンでのエンジニアの任務、業務内容などについては、概要をほぼ明らかにできた。だが、事実の蓄積などの点でドイツとの情報の蓄積には開きがあり、ドイツ調査が必要である。スウェーデン、ドイツ、日本の比較をバランスよく進めることが今回の調査のねらいでもあり、ドイツでの調査に若干の遅れが生じており、努力を要しよう。 ②研究成果については、適宜、中間的とりまとめを行い、学会への投稿論文が掲載された。 ③調査成果と公表については、来年度は国際学会での報告を準備している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究の最終年度であり、原則としてほぼ当初の計画どおり補足調査を中心に研究を進める。とくに調査情報が十分とはいえないドイツを訪問し、再度調査を行うことが必要である。調査を通じて、ドイツのエンジニアの行動様式を、彼らのキャリアパスを含め把握していきたい。また、生産エンジニアの基本モデルとしての理解を進めるべく、日本工場でのエンジニアの行動内容を鋭意調査する必要がある。本研究の作業仮説となっている、日本工場の生産管理上での階層分業の実態をしっかりと解明したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
ドイツでの工場調査を申し込んだが、直前になり担当者側の都合と合わず、調査日程の変更が行えなかったため、調査を中止したため。 今年度は、研究最終年度のため、日本での調査を含め、スウェーデン、ドイツでの補足調査を計画しており、渡航費等で出費が見込まれる。そのため計画的で無駄のない運用に努めたい。
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