研究課題/領域番号 |
24530509
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
坂本 理郎 大手前大学, 現代社会学部, 准教授 (40449864)
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研究分担者 |
川端 勇樹 中京大学, 経営学部, 准教授 (00614702)
西尾 久美子 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (90437450)
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キーワード | デベロップメンタル・ネットワーク / キャリア初期 / 関係性アプローチ / メンタリング / 若手社員 / 造船 |
研究概要 |
本研究は、キャリア初期にある企業の若手社員の発達に有効な人間関係(デベロップメンタル・ネットーワーク:DN)はどのような態様であるのか、またそのDNの構築に強く影響する要因とプロセスを探求することに最終的な目的がある。 平成24年度は、船の修繕を専門に行う造船業A社の若手社員を対象とした調査を行った結果、職務特性の中でもタスクの新規性や多様性がDNの構築に強い影響を有しており、またその有効性が若手社員の行動特性および上司の行動特性によって調整されている可能性を見出した。 さらに平成25年度は、24年度に調査の対象となった若手社員(技能職)の上司層16名にアンケートおよびインタビュー調査を行った。その結果、若手社員を対象とした調査の結果をサポートする事実を発見することができた。それらをふまえて、職務特性と個人および上司の行動特性という3つの要因の適合性によって、有効なDNが構築されるという仮説を立てるに至った。この成果は、平成25年度中に日本労務学会第43回全国大会や日本ビジネス実務学会第50回近畿ブロック研究会において既に一部を報告し、平成26年度に学会発表または論文という形で提示する予定である。 他方で、本研究の人的資源管理論上の学術的意義や先行研究との位置づけなどを確認すべく、先行研究のレビューを行い論文を作成した。 さらに、平成26年度にA社の事務系(大卒)若手社員を対象とした調査を実施することをA社と交渉し、了解を取り付けた。なおその結果は、技能系社員との結果と比較して、仮説の充実化につなげたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
引き続きの努力は必要ではあるが、先行研究のレビューを通じて、本研究の位置づけや学術的意義を明確にし論文としてまとめるに至った。 また上記のとおり、A社での調査についてはほぼ計画通りに進展している。さらにA社の積極的な調査協力を得られたこともあり、当初予定には無かった上司層に対する調査や大卒社員を追加的に行うことが可能となった。 しかし、仮説を一般化するための大規模な定量的アンケート調査についてはこれを急がず、まずはA社を中心とした造船業を対象とした調査から仮説の充実化を着実に行うべきとの判断から実施を見送ることとした。一方で、平成26年度中にA社の若手社員全体を対象としたアンケート調査を実施し、ここまでの調査結果から得られた仮説の傍証としたいと考えている。 なお当初計画で考えていたS社におけるアクションリサーチは、先方との折り合いがつかず断念することとしたが、同様の調査をA社で実施できないか検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度中に、まずはA社の大卒事務職を対象とした調査を実施し、これまでの造船技能職を対象とした調査結果との比較検討を通じて、仮説のさらなる充実化を図りたいと考えている。 上記のとおり、本事業内では大規模な定量的調査を見送ることとしたが、本事業終了後も最終的な目標としてはその実現を目指す。その第一歩として、まずは本事業内でA社内での調査を十分に行うことで、妥当性の高い仮説の提示を目指したい。そのために、これまでは定性的方法が中心であった調査に加え、A社の若手社員全体を対象としたアンケート調査を行う計画である。 本事業終了後となると予測されるが、A社での調査結果をふまえて造船業の他社においても同様の定性および定量的な調査を行うことで、当該産業における仮説の妥当性を確認したうえで、他業種にも調査対象を広げていくという長期的かつ段階的な視野で進めていく考えである。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画においては、大規模な定量的調査を実施する予定であったが、研究方針の変更によってそれを見送ることとしたため、関連する機材の購入を行わなかったことが大きな要因である。 大規模な調査は当事業内で実施しない予定であるが、現在の調査協力企業内においては、当初の計画には無かった定性的調査に加えて定量的調査も実施したいと考えている。そのために必要な調査旅費はもちろん、関連する機材やソフトを必要に応じて購入する。
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