研究課題/領域番号 |
24530516
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
近藤 公彦 小樽商科大学, 商学研究科, 教授 (10205552)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 価値共創 / 経験価値 / 小売業 |
研究概要 |
本年度の研究は、価値共創をめぐる理論的な整理を大きな目的としており、この目的に沿って、『季刊マーケティングジャーナル』(第32巻第4号)に「小売業における価値共創―経験価値のマネジメント―」と題する論文を執筆した。 この論文ではまず、価値創造の主体と客体の点からマーケティング研究における価値概念を整理して、価値の提案から共創への視点転換を概観し、前者の視点を価値創造パースペクティブ、後者の視点を価値共創パースペクティブと位置づけて、その類型化を試みた。次に、小売というコンテクストにおける顧客経験の特徴を考察し、小売店舗におけるショッピング経験、およびそこでの経験価値共創の態様を検討した。こうした一連の分析を踏まえて、小売業における価値共創を統合的に捉えるために「経験価値共創のマネジメントのフレームワーク」を提示した。このフレームワークに基づいて、消費者と経験価値を成功裏に共創するためのマネジメントのあり方を検討するとともに、今後の研究課題を示した。その課題は、企業と消費者との間の関係構築の紐帯としてのブランドの役割、経験価値が共創される条件、および実店舗とネット店舗というマルチチャネルのもとでの経験価値共創の様式を明らかにすることである。 本年度の研究の集大成となる上記論文は、これまで十分な検討がなされてこなかった小売業という局面での価値共創、小売店舗における消費者の経験価値、そしてそれを基盤としたマネジメントのあり方に関して、明確な研究視角と展望を提供するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究は、価値共創をめぐる従来の研究について理論的な整理を行うことを大きな目的としており、この目的に沿った論文を執筆することにより、次年度で取り組むべき研究視角と展望を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度に検討した小売業・消費者間の価値共創をメーカー、卸売業者をも含む垂直的な多段階価値共創にまで拡張し、それを統合的に理解する分析枠組みを構築する。この分析枠組みを基礎として、アンケート調査による実証のための作業仮説を設定し、アンケート調査による実証研究を行う。これら一連の研究を通じて、垂直的バリューチェーンにおける価値共創の態様を理論的、定量的に考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
理論的な分析枠組みの妥当性を検討するために、研究代表者の所属学会(日本商業学会等)において報告を行うとともに、サプライヤー(メーカー、卸売企業)および小売企業を対象としてアンケート調査を実施する。この際、アンケート調査の郵送にかかわる業務を研究補助員が遂行する。アンケート調査から得られたデータを統計的に解析し、合わせて、企業へのインタビューを実施し、分析結果の解釈の妥当性を確認する。
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