2014年度は本研究計画の最終年度にあたる。2012~2013年の2年間の調査内容を踏まえて、研究成果を著書や論文に反映するとともに、次の研究課題に繋げる調査を開始している。 具体的には、まず新興国市場におけるロジスティクス戦略形成のメカニズムと戦略実行のダイナミズムに関する理論フレームワークの構築に向けて、検証作業を続けている。検証のための追加調査として、ユニリーバー・チャイナー、上海家化、長春フォルクスワーゲンなどの中国におけるロジスティクス戦略の実態と推移について現地調査を行った。また、新興国市場における企業の進めているオムニチャネル戦略はロジスティクス戦略のあり方に与える影響について考察した。これらの研究による知見の一部は、著書『中国製造業の基盤形成』と学会発表『An Exploratory Study on Omni-channel Strategy and Challenges for Logistics』に反映している。 ロジスティクス戦略のあり方はロジスティクス産業やロジスティクス・クラスターと密接に関わることが、これまでの研究で明らかになっている。そこで、今後の研究課題として、ロジスティクス・クラスター創成とクラスター内のイノベーション発生プロセスというテーマを設定している。その予備研究として、2014年度には博多・北九州、成都、遂寧、西安、上海、深せんの物流集積地を調査し、それぞれの集積地における入居企業に対してインタビューを実施した。2015年以降の数年間をかけて、新興国市場におけるロジスティクス戦略構築のメカニズムと戦略実行のダイナミズムの研究を仕上げるとともに、ロジスティクス・クラスターに関する研究を積極的に進めていく
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