研究課題/領域番号 |
24530524
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
石田 成則 山口大学, 経済学部, 教授 (50232301)
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キーワード | 持株相互会社 / エージェンシー理論 / 契約者持ち分 / 内部資金効率 / 多角化戦略 |
研究概要 |
これまで、限られた市場のなかで競争を展開してきた(生命)保険業界にあっても、多角的かつ多面的業際競争に引き込まれ、リテール金融においてその地位を再構築する必要性に迫られている。そのために、持株会社への移行などの経営形態、組織形態のあり方がクローズアップされている。保険持株会社では、子会社を事業単位として業績評価することが可能となり、優良資産を中心とした事業の再編成ができる。そこで本研究では、事業選択に根差した経営形態・組織形態のあり方や新規事業展開に適した既存組織の再構築と持株会社のあり方について、理論面と実態面の両面からアプローチした既に入手している米国持株相互会社72社について、理論的に指摘されるメリットとデメリットが妥当するか否かを、統計データを用いて検証した。そのために、保険会社の「収益性」「成長性」そして「リスク指標」に関する分析を、持株相互会社に当て嵌め検討を加えた。とくに、多角化の資金調達面に絞り、親会社の持株相互会社と子会社の株式会社との資金提供と配当の遣り取りから、「内部資金調達」の効率性程度を考察した。そのうえで、持株相互会社における内部資金提供・調達の効率性は、その事業選択と子会社戦略に依存すると考えられるので、「収益性」「成長性」そして「リスク指標」のバランスをとるために、どのような事業戦略・組織選択が遂行されるべきかについて提言を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究成果を纏めることで、国際学会と国内学会の部会において報告を行った。現在は研究の最終年度に向けて、これらの報告と学会・研究会での指摘事項を踏まえて、成果論文の取り纏めに従事している。
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今後の研究の推進方策 |
これまで米国の持株相互保険会社のデータを分析し、その収益性、成長性そして安定性に及ぼす要因を抽出している。ただ、ここから個別保険会社への提言を行うためには、個社の経営戦略の相違が及ぼす影響も無視できない。そこで今後は、72社のHPから経営方針や成長戦略、多角化戦略に対するコメントを整理し、こうした戦略と経営成果との異同や齟齬について考察する。また、こうした会社形態の変革を行った歴史的な背景も調査する必要がある。こうした統計データからは見られない、質的な情報を加味して、持株相互会社形態の優位性を解明する。そのうえで、こうした会社形態をわが国に導入するための条件整備について、保険行政に対して、法制面の政策提言を考究していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
米国の保険持株相互会社の基礎データが、金融格付け会社のフィッチから出されているが、そのCDRデータの金額が150万円を超えている。そこで最新版のデータを購入するために繰り越しを行った。また、昨年度の7月に北京大学で予定されていた国際学会がPM2.5の影響で中止になり、今年の7月に延びた。こうした国際学会での報告並びに資料収集旅費も繰り越した。 上記の理由にある金融格付け会社のフィッチからCDRデータを約150万円で購入する。また、7月に台湾・政治大学で開催される国際学会への出張旅費を約30万円見積もっている。それ以外は最終年度に予定していた成果論文の出版やそれに付随するデータ処理謝金などに使用する予定であり、これらについては当初の計画と変更はない。
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