研究課題/領域番号 |
24530531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
小嶌 正稔 東洋大学, 経営学部, 教授 (40215257)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 石油流通システム |
研究概要 |
平成24年度は、①次世代自動車の影響を含む需要の減少とサプライサイドに与える影響、②販売拠点における業態間競争の激化と異業種間競争、またそれらに影響を与えると考えられる充電設備網、消費者行動に関する研究、③ソーシャル・ロジスティックスの視点からの物流拠点整備のあり方についての研究を実施した。 ①については需要減少がサプライサイドに与える影響について、高度化法の観点からその影響を検証した他、高度化法が元売・特約店の関係に与える影響について、ヒアリング調査等を行った。 ②の販売拠点、充電設備網に関する研究では、横浜と長崎の2つの地域における充電設備の状況を電気自動車(リーフ)を用いて実走した上で検証した他、消費者行動の側面から充電網のあり方について、既販売車種の走行能力などを加味して調査、研究した。 また欧州における充電設備と消費者行動として、英国における充電設備網を訪れ、ヒアリング調査を行った他、フランスにおける電気自動車のカーシェアリングの展開状況と今後の可能性について現地にてヒアリング調査等を行った。 ③のソーシャルロジステッィクスについては、平成25年2月の消防法の改訂がガソリンスタンド過疎地の与える影響について調査、研究を行った。具体的にはガソリンスタンドの閉鎖に対する支援や対策事例を、経産省や全石連における委員会における調査結果などから収集し、その後の進展と対応について考察した。この考察の中で、地方自治体との意見交換、精製・元売の業界団体を含めて情報交換を行ったほか、先進的事例の発掘を行った。 研究実績としては、①高度化法が与えるチャネルマネジメントについての調査(供給環境の変化とチャネル政策)、②充電設備網については、パワートレインの多様化を含めた考察、③ソーシャルロジステックスについては、自治体等を含めた幅広いヒアリングが蓄積できたこと等が主な研究実績である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
販売拠点における業態間競争と異業種間競争、充電設備については初年度目標にした現地調査をほぼ実施することができた。②の業態間競争に対する高度化事例研究の整理については実施に至らなかったが、欧米の電気自動車の施設状況、わが国における代表的な地域においての現地調査は充分な効果をあげることができた。実施調査を行ったことから、スペックのみの分析では無く、消費者行動まで踏み込んだ理解ができたと考えている。この調査結果は、平成25年度の消費者行動調査の基礎となると考える。③のソーシャルロジスティクスについては、適時なテーマとして現地情報を積極的に収集することができ、次年度のヒアリング、現地調査への段取りを作ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、電気自動車の普及を支える消費者の充電行動と充電供給網の整備状況を米国とフランス、英国との比較から調査・研究する。基本的には車種構造がわが国と類似しているフランスを中心に比較するが、超小型モビリティへの国交省の方針が決定した場合には、考察対象に加えるか、ミニEVとの関係から検討する必要がある。 需要の減少の側面からは、エコカーの普及による燃費の向上、新エネルギーの登場と多様化が、どのようにチャネルの変革とガソリン流通に対する影響を調査。研究する。 需要の減少要因としては、中心をなすEVなどの次世代車のみみならず、高齢化や若者の車ばなれなどの需要者要因も同時に検討し、次世代エネルギー供給システムの整備の基礎数字としたい。 EVの普及に関する法的な側面ではフランスのグルネル実施法の詳細な分析を行うほか、エコカー全体、多様なパワートレインを前提にしたカリフォルニアの規制の影響を含めて考察する。 またソーシャル・ロジステッィスでは、平成24年度に行った理論的考察に加え、元売、全農、農流研など供給主体とガソリンスタンド運営会社(小売業者)にヒアリングを行うと共に、ガソリンスタンドの運営、残存を支えるさまざまな多様化事例の積み上げを行う必要がある。特にガソリンスタンド過疎問題に関しては、ライフラインの途絶を避けるために北欧等で行われている施策のレビューを行うほか、震災などの危機対応時のロジステックスを含めて調査・研究する。過疎地ガソリンスタンドの役割としては、ガソリンスタンドを含めた新タウンセンターを構想する必要もあり、これについては米国の先進取組事例の調査するほか、山間地センターなどでの事例を積み上げて、機能の拡大が可能かどうか検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ガソリンスタンド過疎地の調査研究としては、現地調査として北海道、新潟県、熊本県、高知県、愛媛県、岩手県、そして島根県を対象地域とし、商業組合、運営業者をてヒアリングを行う。新潟、熊本、北海道においては、新業態開発の検討、高知、愛媛では既存事例の発展の可能性の検証を行う。 そして米国ではカリフォリニアかその隣接州において同様の経営力ヒアリング等を実施する。そのため、国内旅費と国外旅費(米国:現在は西海岸を予定)が必要となり、さらに現地調査用の軽量ノートPCの購入を計画している。 物品費としては、ECに関連したEV化に関する文献、石油流通に関する業界紙、データベースに対する支出を計画している。
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