平成26年度は、過去3年間の研究のまとめとして、新エネルギー供給拠点と移行期の社会インフラとしての石油流通システムのあり方についてまとめた。 研究成果として新エネルギー移行期における最適な石油流通機構のあり方を流通機構の構成員の役割を含めて報告書にまとめた。その結果、新エネルギーの供給拠点として期待される小規模な石油流通業者が、価格制度や取引システムにおける不全によって危機にさらされていることを、卸売価格システム分析によって示した。 また精製・元売の直接流通システムについては、子会社単位まで遡ってデータを収集し、規制緩和から現在までの実態をまとめ、その影響について分析した。同時に、SCやスーパーなどの異業種を含めた機構全体についても、各販売業者毎に個別にデータを収集して分析した上で、その影響をまとめた。この調査は石油流通における異業種の地位について包括的にまとめた唯一のデータであり、きわめて有用な資料となった。今後は欧米との比較研究が必要であり、早期に取り組む必要がある。 新エネルギー供給拠点の調査としては、日産自動車などの協力を得て、スペインバルセロナの電気自動車ENV200の工場及び流通インフラ調査とバルセロナ等においてEVタクシーの運転手を含めEVの利用実態調査を行った。 さらに新エネルギー供給拠点の前提しての車両普及予測調査を、燃料電池車、クリーンディーゼル車、電気自動車を中心に実施し、電気自動車の普及の条件と課題、燃料電池車の課題、クリーンディーゼル普及支援の必要性などを米国、欧州、わが国の文献を中心に調査し報告書にまとめた。 一方、震災時における石油流通のあり方については、石油連盟モデルの有効性の検証を予定していたが、震災時のタンクローリーの動き等をビックデータ等を利用して解析するに留まった。引き続き防災の観点からもこの領域の研究を進める必要がある。
|