研究課題/領域番号 |
24530533
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
金 雲鎬 日本大学, 商学部, 准教授 (10410383)
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研究分担者 |
秋山 秀一 兵庫県立大学, その他の研究科, 准教授 (30388889)
日高 優一郎 山梨学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90550335)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 顧客データ / CRM / ポイントカード / 購買履歴データ |
研究概要 |
小売企業の購買履歴データの活用可能性に関する研究を行った。具体的には、関連研究のレビュー及び先端事例に対する取材調査を行った。 その結果、購買履歴データは、小売企業のMD活動の中でも、①販売促進活動の効率化を通じて売上及び収益性向上に貢献する可能性があることと、②POSデータからは得られない需要情報を収集することができるために、この情報は、供給業者との協調的関係を形成する基盤になる可能性があること、③購買履歴データを分析・活用することによって、需要を管理する能力が向上される可能性があること、④効率的多店舗管理に貢献する可能性があることが探索的ではあるが確認された。 この発見は、POSデータの活用に関する研究やCRM研究からは得られない視点であり、小売企業のCRM活動をより有効なものにするための示唆点と、購買履歴データの活用と小売企業の成長との関連性を見る視点を提供するものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要でも書いたように、小売企業が集める顧客の購買履歴データを活用することにより、小売業務の効率化と競争基盤を得る可能性があることが探索的ではあるが確認された。 顧客データを集めるものの、その活動(主にCRM活動)が業務効率化や競争優位獲得につながらず、悩む小売企業が多い現状を考えると、これらの発見は実務的に意味があると考えられる。 これらの発見事実が一般性を持つためには、仮説構築と多くのデータによる確認作業が必要と思われるが、現在までの発見事実からも仮説を導きことが可能と思われる。これから概念や仮説の精緻化作業が求められるが、現段階では順調に進んでいると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
前項で書いたように、購買履歴データの活用可能性をCRM活動以外の分野まで広げたことは意味があると思われるが、探索的仮説を立てたのに過ぎないために、今後2年間は、これらの仮説を精緻化しながら、データによって確認する作業を進めていきたい。 具体的には、事例研究と質問票調査を並行するよっていである。事例研究においては、2012年度には最寄品を専門的に扱う小売企業を対象に取材調査を行ったが、2013年度には、供給業者(メーカーや卸売企業)までを視野に入れた調査を行うことで、小売側の論理と供給業者側の論理を両方考察する。そして、2013年度後半には、小売企業を対象に質問票調査を行い、仮説の確認作業を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究費は、企業インタビュー調査のための旅費と質問票調査に多くの経費が使用される。そしてこれら以外には、打ち合わせを兼ねた研究会を4~5回ほど開催する予定であり、そのための旅費などの経費が使用される。また企業インタビュー調査から得られた知識をベースに論文を執筆する予定であるが、この論文を海外ジャーナルに投稿・報告作業を行う予定であり、これと関連した旅費が発生すると予想している。
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