研究課題/領域番号 |
24530535
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
西川 英彦 法政大学, 経営学部, 教授 (10411208)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マーケティング / ユーザー・イノベーション / クラウドソーシング / 共創 / 自然実験 |
研究概要 |
本研究の目的は、ユーザー・イノベーションにおけるユーザー創造製品がもたらす複合的な市場効果について、自然実験を通して理論的・実証的に考察することにある。初年度の位置づけは、研究全体の計画を立案することにあった。具体的には、①先行研究調査、②理論的考察、③学会での情報収集・打合せ、④実験計画作成・打合せという、大きく4つのステップで進める予定であった。 まず最初に、①関連の先行研究調査については、ユーザー創造製品の市場効果に焦点をあて、ユーザー・イノベーション研究をレビューすると同時に、社会科学の基礎分野の研究動向にも目を配り方法論を整理してきた。 その上で、②先行研究による理論的考察については、理論的考察を通して現状の仮説を基にしつつ、市場効果の仮説や概念モデルを精緻化し、その設定を行った。 次に、③関連学会での情報収集・研究打合せについては、ハーバード・ビジネス・スクールで開催された関連学会OUI workshop 2012(Open and User Innovation Workshop)に参加し、最新の研究内容を確認しつつ、研究打合せを実施し、そこでの情報共有と深い議論を通じて仮説設定や実験計画を立案してきた。 最後に、④実験計画の作成・打合せについては、協力研究者と共に、実施企業担当者との実験計画の打合せを実施をしてきた。具体的には、(1)対象企業と開発する製品テーマとして、「菓子」カテゴリーを設定した。(2)ユーザー創造と専門家創造の両手法で開発を進めるため、ユーザーからのアイデア募集および、内部でのアイデア創造、そしてそれぞれの製品開発を実施企業に推進してもらった。(3)自然実験を行うための店舗を、売上データなどをもとにランダムブロックデザインにより割当を行った。(4)対象店舗の売場での設置方法、ラベル(POP)表示について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の本年度の計画は、初年度として、研究全体の計画を立案することにあった。具体的には、①先行研究調査、②理論的考察、③学会での情報収集・打合せ、④実験計画作成・打合せという4つのステップであった。 現在までの状況としては、それらの4つのステップを実施することができた上に、④については、計画作成だけに留まらず、実験の準備を企業とともに実施することできた。そのため、当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、初年度の実験計画の作成を受けて、実際に実験を実施することが中心となる。具体的には、①先行研究調査、②学会での情報収集・打合せ、③実験の実施という、大きく3つのステップで進める。 まず、①関連の先行研究調査については、本年度に継続して実施していく。ユーザー創造製品の市場効果に焦点をあて、マーケティング・組織論・消費者行動など経営学・商学の各分野にわたるユーザー・イノベーション研究をレビューすると同時に、社会学・心理学など社会科学の基礎分野の研究動向にも目を配り方法論を整理する。 次に、同じく②関連学会での情報収集・研究打合せについても、継続して実施していく。近年、関連分野の研究が活発であり、出版前の最新研究にも絶えず目を配る必要がある。そのため、イギリスのブライトン・ビジネス・スクールで開催予定の関連学会OUIworkshop 2013(Open and User Innovation Workshop)に参加し、最新の研究内容を確認する。さらに、同学会に時期を合わせて研究協力者との研究打合せを実施する。 最後に、③実験の実施を行う。実験計画にもとづいて、実際の店舗において両手法による商品を販売して自然実験を行う予定である。実験プロセスおよび実験中の状況についても、観察データを記録することにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、今後の推進方法と関係して、次のような費用となる。まず、①の関連の先行研究調査に関しては、ユーザー・イノベーション関連図書や、社会科学(社会学・心理学・統計学など)関連の基礎図書を購入することとなる。②の関連学会であるOUI2013での情報収集・研究打合せに関しては、海外旅費、国内旅費を使用する。③の実験の実施については、実験店舗へ訪問のための国内旅費および、データ整理のための謝金として使用する。
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