研究課題/領域番号 |
24530537
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研究機関 | 金沢星稜大学 |
研究代表者 |
方 斌 金沢星稜大学, 経済学部, 准教授 (20350746)
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研究分担者 |
小野 晃典 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (20296742)
川島 哲 金沢星稜大学, 経済学部, 教授 (70329366)
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キーワード | グローバル・カスタマイゼーション / 中国 |
研究概要 |
本研究は、急速に拡大する中国市場に対して日本企業がいかにして進出するかという現実的な課題に関連し、日本国内の製品・価格・広告・流通の諸戦略の様式を維持する「標準化」を行うか、それとも、中国市場の潜在ニーズに適応して諸戦略の様式を変更する「適応化」を行うか、という伝統的なグローバル・マーケティング問題を源流に持ついわば「マクロレベルのカスタマイゼーション問題」と、日中において異なる戦略を採用するという意味では「適応化」を行うものの、中国市場内においては「標準化」を推進するか、それとも、中国市場内においても個々のニーズに対応して「適応化」を推進するか、という比較的新しい「ミクロレベルのカスタマイゼーション問題」を融合させた「グローバル・カスタマイゼーション」研究を展開することを目的としている。 平成25年度は、研究計画の通り、これまで研究してきたグローバル・マーケティングおける適応化・標準化、およびマス・カスタマイゼーションにかかわる研究を整理・統治し、また、他の同テーマに関する既存研究を再吟味することができた。さらに、既存研究に類を見たい、本研究独自のグローバル・カスタマイゼーションの概念モデルを構築した。また、そのモデルを検証するため、中国市場で日本の自動車を販売しているディーラーを対象にして予備調査を実施した。これらの研究内容をまとめ、海外で開かれた2つの国際学会に2本の論文を投稿し、査読を経て発表することによって、フィードバックを得ることにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、研究代表者および分担者がこれまで蓄積してきたグローバル・マーケティング研究およびマス・カスタマイゼーション研究を、上記に示す具体的な方向性をもって、独創的な新概念である「グローバル・カスタマイゼーション」の枠組のもとで体系化させ、グローバル・マーケティング研究の分野において研究貢献を成す計画である。そのための方法として、広大な中国市場に様々な戦略を伴って進出しようとする日本企業に焦点を合わせて、多層的な階層を成す「グローバル・カスタマイゼーション」の実践ないし非実践を巡る企業行動および消費者行動に関する包括的なモデルの構築と実証を目指した。具体的には、初年度と次年度においてこれまで研究してきたグローバル・マーケティングおける適応化・標準化、およびマス・カスタマイゼーションにかかわる研究を整理・統治し、本研究の主たる目的であるグローバル・カスタマイゼーションの概念モデルを構築する作業を、最終年を待たずして行うことができた。さらに、中国に進出している日本企業を調査することを通じて、グローバル・カスタマイゼーション概念モデルの精緻化を目指した。 こうした活動に照らして、現在までの2ヶ年の間、研究は当初の計画通りに進められてきたと評価しうるであろう。さらに、これらの研究の中間的な成果を論文の形にまとめ、平成25年度中だけでも、2つの国際学会にて2本の論文を査読を経て発表することができた。ただし、中国市場調査においては、十分に満足できるデータ収集および分析結果を得ることができたわけではなかった。この点は中国市場のことであるから想定内であるが、平成26年度においては、調査方法を更に工夫した上で、大規模調査を実施する目論見である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、中国市場に対して日本企業がいかにして進出するかという現実的な課題に関連し、日本国内の製品・価格・広告・流通の諸戦略の様式を維持する「標準化」を行うか、それとも、中国市場の潜在ニーズに適応して諸戦略の様式を変更する「適応化」を行うか、という伝統的なグローバル・マーケティング問題を源流に持ついわば「マクロレベルのカスタマイゼーション問題」と、日中において異なる戦略を採用するという意味では「適応化」を行うものの、中国市場内においては「標準化」を推進するか、それとも、中国市場内においても個々のニーズに対応して「適応化」を推進するか、という比較的新しい「ミクロレベルのカスタマイゼーション問題」を融合させた「グローバル・カスタマイゼーション」研究を展開することを目的としている。この目的に照らして、平成26年度は、中国市場に展開する日本企業に対する市場調査を再度行うため、調査票の再吟味や調査企業の再確定、および現地調査を実施する計画である。より高質なデータを得たあかつきには、本研究の成果である理論モデルの実証分析が成功し、本年度にも増して学界におけるプレゼンス高められるものを期待できる。そのためにも、3年間の研究結果を論文の形にまとめあげ、即自的な成果の発信とフィードバックのために、本年度中にも積極的に国際学会に論文を投稿し、査読を経て発表したいと考えてある。
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