研究課題/領域番号 |
24530538
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 静岡産業大学 |
研究代表者 |
柯 麗華 静岡産業大学, 情報学部, 准教授 (60582377)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中国 / 北京 / 上海 / 成都 / アモイ |
研究概要 |
本研究の目的は、欧米日の外資小売企業の標準化-適応化戦略が、中国の流通システム、流通チャネル、現地小売企業、消費者に与えた促進的な効果及び阻害的な要因について分析することである。本研究は、外資小売企業における中国流通システムへの影響の解明という研究目的を3年の研究期間で達成するために、1「中国の流通システムの歴史的な推移と特徴の解明」、2「外資小売企業の大型総合スーパーマーケット業態の展開の特徴の解明」、3「外資小売企業による流通チャネルへの影響の解明」、4「外資小売企業への評価」という4つの副課題を設定し、文献・資料研究、現地インタビュー調査を用いてこれを実施する。 今年度の研究課題は、「現代中国の流通システムの歴史的な推移と特徴の解明」である。研究の成果として、「中国におけるチェーンストアの発展に関する考察」と題した論文を発表した。論文では、まず、中国の流通政策の歴史な変遷を考察し、小売業の発展の特徴を明らかにした。そして、中国流通市場に占めるチェーンストア上位100社のシェアはさらに拡大し、流通業における上位集中、寡占化の方向に向かっていることを分析した。また、小売業態別の経営実態や直面する課題も提示した。さらに、今後、小売業者はこの「通道費依存型」の経営体質から早急に脱却し、物品販売の本業で財務強化の仕組みを構築することが急務となっていることも提言した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年の研究課題である「現代中国の流通システムの歴史的な推移と特徴の解明」について、ほぼ研究計画の通りに進めてきた。この研究課題について分析するため、研究計画に従って、3つの段階に分けて研究してきた。1つ目には、現代中国の流通システムの歴史的な推移について、主に中国語の文献および資料をレビューし、その課題をある程度明らかにした。2つ目には、中国の流通システムの形成は、経済の発展段階に規定されるため、ロストウ(Rostow, W. W. [1960])の「経済の5段階成長説」の視点に基づいて、大量の文献・資料の収集および研究を行ってきた。最後の3つ目には、中国の流通システムの特徴を明らかにする方法として、バーテルズ(Bartels, R.1963)の環境規定論的アプローチの手法を借用した。なぜなら、環境要因は、中国の流通システムの形成にとって直接的な規定要因となっているからである。特に、政治的な環境要因が流通システムの形成にとって最も直接的な環境要因となっていることを明らかにした。 そのうち1つ目の研究として、「中国におけるチェーンストアの発展に関する考察」という論文を発表し、アジア市場経済学会でも発表した。そして、2つ目と3つ目の内容については、長期にわたって更なる地道な資料・文献の収集が必要であるため、今年度あるいは最終年度にまとめて学会あるいは論文として発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の通り、今年度の研究課題は、「外資小売企業の大型総合スーパーマーケット業態の展開の特徴の解明」である。その理由は、中国における小売の経営技術の移転は、欧米日の外資参入によりもたらされたという経緯があるからである。本研究で重点的に取上げているスーパーマーケット業態は、欧米日の資本により経営技術の移転が行われている。したがって、外資が中心的な役割を果たしている小売の経営技術の中国移転の実態を、スーパーマーケット業態の研究により解明することが可能である。研究方法は、小売ライフサイクルの視点に基づき、業態全体の発展段階とカルフール、ウォルマート、イトーヨーカドーの小売の経営技術の国際移転の度合いから総合的に考察することにより、業態全体の展開特徴を明らかにすることができると考えられる。 そのため、今年度には、大半の時間を文献・資料の収集および研究に費やしたい。そして、夏・春・冬の休み中、現地企業のインタビュー調査を行いたい。年度末頃研究成果をまとめ、アジア市場経済学会もしくは日本商業学会で報告し、それらの学会誌に論文を投稿する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究方法は、文献・資料の収集、現地企業のインタビュー調査であり、これに伴い設備備品費、外国旅費が必要となる。また、国内学会での報告に伴い国内旅費も欠かせない。その詳細は、以下の通りである。 ①「外資小売企業の大型総合スーパーマーケット業態の展開」関連の文献・資料収集のために300千円の設備備品費を計上する。 ②中国研究機関での文献・資料収集ために200千円の国外旅費(静岡-北京・上海・アモイ、4泊5日)を計上する。 ③カルフール、ウォルマート、イトーヨーカドーにおけるインタビュー調査のために400千円の外国旅費を計上する。内訳は4泊5日2回(静岡-北京と静岡-上海それぞれ1回)である。 ④国内学会での報告のために30千円の国内旅費(静岡-東京、1泊2日)を計上する。
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