この研究の目的は、欧米日の外資小売企業の標準化-適応化戦略が、中国の流通システム、流通チャネル、現地小売企業、消費者に与えた促進的な効果及び阻害的な要因について分析することである。研究目的を達成するため、4つの課題を設定した。今年度の研究課題は、「外資小売企業による流通チャネルへの影響の解明」と「外資小売企業への評価」であった。 まず、「外資小売企業による流通チャネルへの影響の解明」について、外資の小売事業システムは、国内企業よりも優れているため、流通業の発展が遅れた中国ではその競争優位を確立しやすい。また、外資小売企業はその優れた小売事業システムを武器とし、いち早く小売主導型流通システムを定着し、流通システムに促進的な影響を与えた。 次に、「外資小売企業への評価」について、外資小売企業の中国進出は、流通市場のグローバリゼーションを進展させ、経済の発展に大きな影響を与えてきた。また、流通業のグローバリゼーションの進展は、中国の経済発展に多くの波紋を引き起こしている。外資小売企業の進出は、中国の流通システムの構築にマイナスの影響を与えると同時に、プラス的な促進効果が大きいと評価できる。
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