研究課題/領域番号 |
24530539
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
崔 容熏 同志社大学, 商学部, 教授 (70315836)
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研究分担者 |
結城 祥 中央大学, 商学部, 准教授 (10554321)
原 頼利 明治大学, 商学部, 准教授 (30366900)
久保 知一 中央大学, 商学部, 准教授 (40376843)
高田 英亮 慶應義塾大学, 商学部, 講師 (90508631)
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キーワード | マーケティングチャネル / 統合と分離 / 協調と対立 / 取引費用 |
研究概要 |
平成25年度は研究モデルと調査対象の確定が当初の目的であった。先行研究に対するレビュー作業の結果、売り手―買い手企業の知覚の差異に注目し、チャネル関係における協調と対立の側面を立体的に分析する研究が不足していることが明らかになった。 この論点を中心に、共同研究者各自が理論的考察を進めると同時に、数回にわたる研究会を開き、分析コンテキストをどこに絞るか、また、分析モデルにどのような変数を取り入れるかについての協議を行った。その結果、以下のような知見が得られた。 従来のチャネル研究はモナディックデータによるものが多く、関係の協調性や対立性に関して、それがチャネルメンバー間の共通した認識を反映するよりは、メンバー各自の主観的判断に基づいているという批判を避けることが出来ない。そのために、特定のチャネル関係について、メンバー間に認識の差異が存在するか否か、また、存在するのであればその相違は大きいのか否か、という問題がチャネル関係の成果にインパクトを与える可能性が残されることになる。また、その知覚の差異は、メンバー各自の依存度、チャネルメンバー各自の規模などの関係の構造的な側面や、関係の歴史や信頼、コミュニケーションのような相互作用的側面、および、不確実性など環境的要因によって調節される可能性があることも議論された。 また、チャネルメンバーの認知する統合度という要因も、直接・間接的に各メンバーの知覚水準に影響を及ぼし、それが結果的にメンバー間の知覚の異同として表れる可能性を指摘できる。 当初の目標は、平成25年度中に研究モデルを確定し、全行的な輸送調査を実施することであったが、ダイディック・データ確保のための業界選定が難航したことなどの理由で、やや遅れ気味になっている。今年度の上半期中に調査モデルの確定、調査項目設計、および全国ベースの輸送調査と収集作業を集中的に行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、昨度中に研究モデルの確定と調査項目の設計を行い、全行的な輸送調査を実施す計画であった。しかし、本研究のためにはチャネルメンバー両方からダイアディック・データを確保することが不可欠だが、どの業界をその対象に選定するするのが適切かについて、なかなか合意が得られず難航したことが最大の原因である。しかし、本研究はあくまでも概念モデルを実証するのが目標であるため、やや計画に遅れがあっても、定量的分析に耐えうる十分な数の、しかも良質のデータを確保すること不可欠である。また共同研究者の一人が、在外研究中であることも原因の一つであると考えられる。 しかし、これまでの遅れを挽回するために、今年度の上半期中に調査モデルの確定、調査項目設計、および全国ベースの輸送調査と収集作業を集中的に行う計画である。また、在外研究中のメンバーともスカイプなどを使った遠隔会議を利用し、協議を進める計画である。
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今後の研究の推進方策 |
「チャネルメンバー間の知覚の差異」という論点は、従来のチャネル研究であまり考慮されていなった興味深い論点ではあるが、研究の拡張性の面で問題があるという指摘が研究打ち合わせの過程で提起されている。その点を踏まえ、今後の進行過程で研究モデルに関して慎重に議論する予定である。 今年度の上半期中に調査モデルの確定、調査項目設計、および全国ベースの輸送調査と収集作業を集中的に行う計画である。データの整理と分析作業を夏季休暇中に行い、年度の後半には、分析作業と執筆作業を進める予定である。少し遅れているために、論文としての刊行や学会における報告などは次年度以降に持ち越される可能性が高くなったが、共同研究者同士、および共同研究者各自が関わっている研究会などを利用し、研究結果を公表していきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
全国的輸送調査を当該年度に実施する予定だったが、調査設計や調査対象選定に予定より時間がかかったために、年度内に配布することが出来なかったのが原因である。 次年度(2014年度)の上半期中に、調査項目を確定し、全国的な輸送調査を実施する計画で、共同研究者との間で調整を進めており、研究費のほとんどの部分はそれに割り当てる計画である。
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