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2013 年度 実施状況報告書

東アジアにおける奢侈品市場の発展と百貨店の役割

研究課題

研究課題/領域番号 24530540
研究機関関西大学

研究代表者

藤岡 里圭  関西大学, 商学部, 教授 (00326480)

キーワードラグジュアリー / ブランド / 奢侈品 / 百貨店
研究概要

2013年度は、奢侈品市場において東アジアが生産市場として、また販売市場としてどのような位置づけとなっているのかを明らかにするため、下記のような調査を行った。
①奢侈品産業に関する文献研究を進めた結果、マーケティング論においてはいかに奢侈品企業がブランドを構築したのか、またその過程でどのようなマーケティング戦略を遂行したのかについての研究が進んでいること、そして歴史研究においては、奢侈品企業がどのような歴史を持ち、いかにしてコアコンピタンスを構築しているのかについて研究蓄積があることを理解した。しかしながら、両分野の知見を統合した研究や、個別企業の戦略が奢侈品産業全体にどのように影響しているのかを論じた研究の少ないことが明らかになった。
②国内外の奢侈品産業にかかわる百貨店や卸売企業の担当者へインタビュー調査を行った結果、東アジアが販売市場として拡大していることと、その市場への接近方法が欧米市場や日本市場とは異なることが明らかになった。また、奢侈品の中でもアフォーダブル製品が東アジアでは特に注目され、新興市場への参入時には有効に機能していることが理解できた。
以上のような今年度までの研究に基づき、31st International Conference on Business History (Fuji Conference)において報告し、また『経済論叢』(京都大学)において中間成果を論文として公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度に当初予定通りに遂行することができなかった呉服店系百貨店の一次資料の調査は、平成25年度に当初予定通り実施することができた。しかも、当初は閲覧が困難であると思われていた企業の内部資料を閲覧することもできたうえ、この調査結果を最終成果へ組み込むことの目処をつけたことは、予想していた以上の成果である。
当初の予定通り進めることができたのは、国内外の企業へのインタビュー調査である。日本の百貨店に加えて、韓国の中で奢侈品の売上高が高いロッテ百貨店や現代百貨店、中国で奢侈品を中心とした店舗展開を行っている日本の百貨店(伊勢丹および高島屋)、さらに欧州の小売業や卸売業でのインタビュー調査が予定通り実現した。
当初の予定通り進まなかったのは、イギリスのCHORD学会での報告が実現しなかったことである。これは、平成25年度の大会テーマが当初想定していたファッションに関するものではなく、心理学や美術史など本研究とは異なる研究分野に焦点をあてたテーマを掲げたことによる。しかしながら、当初予定していなかったFuji Conferenceでの報告が実現したことにより、おおむね本研究の中間報告も順調に進んでいると言える。
以上のことから、当初計画において想定したペースで順調に研究が進展しているといえよう。

今後の研究の推進方策

今後の研究は、以下の3点を中心に行う。
第1に、平成25年度に引き続き、日本の百貨店の一次資料調査を行いたい。これまで発掘されていなかった企業の一次資料を丹念に調査することによって、より緻密に日本の百貨店が奢侈品市場の発展にどのように貢献してきたのかを歴史的に実証する。
第2に、これまでの研究成果に基づき、奢侈品産業における国際分業の様式、とりわけ東アジアの役割について、産業論的な視点から分析していきたい。この視点は、これまでの文献研究で導出された研究上の空白を埋めるものであり、本研究のいまひとつの独自性(歴史実証分析)を理論的に追求することになると考えている。
第3に、海外で積極的に成果を報告する。とりわけ、奢侈品産業に関する研究が進んでいるヨーロッパの学会(具体的には、平成26年8月21日から23日にオランダで開催されるEuropean Business History Associationの年次大会)で発表し、彼らと議論することを通じて、さらに本研究を深めていきたいと考えている。また、11月には異なるアプローチで奢侈品産業を研究している研究者らとともに、スイスのヌシャテル大学で奢侈品ブランドに関する国際会議を組織し、研究発表を行う予定である。これらの学会での研究発表を基に、国内外の査読付き雑誌に投稿していきたい。

次年度の研究費の使用計画

平成24年中に発注し、平成25年2月に納品された洋書が、刊行から9年経過していたことにより、定価よりかなり低い価格で購入することができたため、次年度使用額が生じた。
今年度は、当初の予定通り、その大部分を、オランダでの学会発表およびスイスでの国際会議での報告のため旅費、および国内外の調査のための旅費として使用する予定である。また、繰り越した4073円は、今年度に計画している奢侈品産業に関する図書の購入に追加して使用したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 高度成長期における百貨店の高級化と特選ブランドの役割2013

    • 著者名/発表者名
      藤岡里圭
    • 雑誌名

      経済論叢

      巻: 第187巻第3号 ページ: 95-110頁

  • [学会発表] Emerging Asian Markets and the Growth of the European Luxury Industry, 1960-2010

    • 著者名/発表者名
      Rika Fujioka and Pierre-Yves Donze
    • 学会等名
      31st International Conference on Business History (Fuji Conference)
    • 発表場所
      Kyoto University

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公開日: 2015-05-28  

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