研究実績の概要 |
2014年度は本研究の最終年度となるため、これまでに実施した文献研究とインタビュー調査の結果に基づき、日本で奢侈品市場がどのように発展してきたのか、また、奢侈品市場の拡大は、百貨店の発展にどのような貢献をしてきたのかについて検討した。 その結果、日本の奢侈品市場が拡大する過程で、百貨店が奢侈品ブランドにとって①流通チャネルの確保、②顧客の開拓という二重の意味で重要であったこと、また、百貨店にとって奢侈品ブランドは、全体の売上高が伸び悩む中で数少ない成長部門であったことや、排他的依存関係を構築することによって店舗差別化の手段となっていったことが明らかになった。 これらの研究成果は、2014年8月23日にオランダ・ユトレヒト大学で開催されたEuropean Business History Conferenceにて、"The effect of world expositions on the development of Japanese department stores"として、また、11月7日にスイス・ヌシャテル大学において開催されたGlobal luxury に関する国際会議にて、"The role of Japanese department stores in introducing affordable luxury goods into Japan"として報告した。また、これらの成果の一部は、ピエール=イブ、ドンゼ氏とともに、"European luxury big business and emerging Asian markets,1960-2010"と題した論文を執筆し、"Business History"に掲載されることが決定した。さらに、本研究の最終的な成果として現在、「百貨店の発展とラグジュアリーブランド」と題した論文を執筆中である。
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