研究課題/領域番号 |
24530542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
宇都宮 浄人 関西大学, 経済学部, 教授 (70334589)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 公共交通 / 統計 / 交通政策 / 価格弾力性 |
研究概要 |
平成24年度は、日本とドイツについて、地域別で、鉄道やトラム、バス等モード別の公共交通の路線延長、輸送キロ数、輸送人員、運賃、乗用車保有台数の公表データを調査し、日本については、国土交通省、各都道府県、市町村から公表されているデータ、運輸政策研究機構『地域交通統計年報』などの交通関連データと、関連する経済社会データを、都道府県別にエクセルシートに入力・整理した。一方、ドイツについても、ドイツ統計局やドイツ運輸省のウェブサイトのほか、Verband Deutscher Verkehrsunternehmen で提供されているデータが有用であることが判明したため、Statistik等の書物を過去10年程度入手し、関連する経済社会データとあわせ、州別及び各地域の運輸連合別にエクセルシートによるデータ入力・整理を行った。データについては、異常値のチェックも行った。 また、これらの統計を用いた計量経済学分析について、日本、ドイツの文献のサーベイを行うとともに、これまでの先行研究をベースに、日本については県別のバス、ドイツについては州別の公共交通利用者の需要関数の推計を、各種説明変数のパターンで試みた。 以上の本年度の研究実績は、従来整備されてこなかった日本及びドイツの交通関連統計の新たなデータベースの構築としての意義があるほか、実際に推計された需要関数から、これまで明らかにされてこなかった公共交通需要の変動要因が、日独で明らかになる。また、イギリス等では先行研究のある運賃の価格弾力性についても、新たに推計が行われるもので、今後の交通政策の方向性に一定のインプリケーションを与えるものである。 さらに、上記の研究過程で気づいた日本の交通関連統計の問題点も整理し、これについても、近年全く検討がなされていなかった交通関連統計の意義や課題について、統計整備の方向性を与えるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ整備にあたって、当初期待していたドイツの運賃データが入手できないといった問題はあるが、最低限必要なデータは、日本、ドイツで整理することができており、運賃の弾力性も有意な結果が推計されるなど、おおむね順調と判断できる。 また、交通関連統計の整備に関して、論文を国土交通省に提示し、国土交通省側も、統計改善の取り組みに向けてアンケートを開始するなど、この面では大きな成果となった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ドイツのデータを整理するほか、イギリスのデータ整理を行う。さらに計量経済学的な分析を進め、結果をまとめて学会等で発表を行っていく。また、データベースも公表用に整理する。 研究上の問題点としては、運賃のデータが見つからないので、代理変数として、売上高と輸送人キロからキロ当たりの単価を算出するという方向に切り替える。また、データが不連続な部分が解明できていないなど、データ処理上の問題があるが、この点については、各統計局等にヒアリングするとともに、分析に当たっては、ダミー変数を用いるなどでその影響を回避する。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費:国内20万円(国内は日本交通学会、LRT都市サミット等出席のため)、海外100万円(昨年の予定が変更になったリーズ大学及びウィーン工科大学でのレクチャー・打合せ<5月>とオックスフォードで開催のThredbo国際会議<9月>での発表。 人件費・謝金:20万円(データ入力、英文校閲) 物品費:5万円(書籍等) その他:5万円(ポータルサイト委託費) なお、上記金額には、昨年度からの繰り越し金44万円が含まれるが、これは昨年度に予定していた海外の大学での打合せを、研究の進み具合と日程的な面を考慮して、今年度に繰り越したことに因るもの。
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