研究課題/領域番号 |
24530542
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
宇都宮 浄人 関西大学, 経済学部, 教授 (70334589)
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キーワード | 公共交通 / 統計 / 交通政策 / 価格弾力性 |
研究概要 |
平成25年度は、地域別のドイツの地域公共交通関連データ整備を継続し、そのデータを基礎に、州別の公共交通の需要関数の各種推計を実施し、価格弾力性を中心にドイツの地域公共交通の分析を行った。また、平成24年度に行った日本の分析との比較も含め、海外のセミナー、学会で発表を行い、内容の吟味を行った。また、こうした国際比較の議論のなかで、フランスを分析対象にすることの示唆があったため、フランスの地域公共交通関連データベースの構築も作業を開始した。 以上の作業により、地域公共交通が発達しているドイツに関して、従来の制度的な分析に加え、海外でもさほど研究蓄積が多くない統計的な実証結果が得られた。また、そうした結果を日本と比較することで、日本の交通政策に対しても示唆を与えるものが発表できたと考える。ちなみに、日本においても、平成25年度は日本で初の「交通政策基本法」が施行され、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」の改正が提案されるなど、地域の交通のあり方に関する議論が高まっており、こうした研究を基礎として、フォーラムやシンポジウム等でも議論を喚起し、政策提言を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度はドイツについて分析結果をまとめ、交通学会ほかで討論のうえ、査読を経て論文を公刊することができた。 また、24年度に分析を行った日本の結果をウィーン工科大学、リーズ大学、Thredbo国際コンファレンス(オックスフォード大学で開催)で発表し、日本と海外を比較する形で、地域公共交通の政策的なあり方も含めて議論を行ったほか、国内でも阪大で開催された地域活性化のフォーラムや、交通協力会主催の地方都市の交通に関するシンポジウム、静岡市主催の公共交通シンポジウムなどで、日本及びドイツの分析結果を紹介しながら、今後の日本の地域公共交通について議論を提起することができた。 なお、データベースのデータ公表に向けたポータルサイトの作成には手がついていない。
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今後の研究の推進方策 |
日本、ドイツの発表を行った際に、フランスの比較というサジェスチョンをいただいたため、当初想定しなかったフランスの地域公共交通に関する統計データベースの整備を進め、日本、ドイツと同様、地域公共交通の需要関数を中心に分析を進める。一方、イギリスについては、すでにイギリスの統計局でデータが整理されているうえ、需要関数の分析も先行研究があるため、イギリスについては、需要関数の推計等は行わないこととする。 また、これらのデータベースを公表用に整理し、サイトを作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、ポータルサイトの作成が行われていないこと、データ整理等の謝金の支払いが予定を下回ったことにより発生。 平成26年度は、旅費として、国内20万円(交通学会、公益事業学会等)、海外50万円(リーズ大学セミナー等)、人件費・謝金20万円、物品費10万円を使用する計画。
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