平成26年度は、都市圏別のフランスの地域公共交通関連データ整備を継続し、そのデータを基礎に、都市圏別の公共交通の需要関数の各種推計を実施し、価格弾力性等フランスの地域公共交通の分析を行った。また、24年度、25年度に実施した日本、ドイツの分析結果との比較も含め、海外のセミナー、学会での発表を行った。 以上の作業により、地域公共交通が発達しているドイツ、フランスなどについて、従来は制度的な分析が中心だったのに対し、本研究により、データを踏まえた実証分析を提供することができた。ドイツ、フランスにおいて、運賃を政策的に安価にすることで公共交通に対する需要を引き出しているということ、フランスにおいては、乗用車と地域公共交通が補完関係にあり、両者の対立ではなく、政策的に棲み分けや共存が重要であるという示唆を得た。 これらの研究成果は、人と環境にやさしい交通をめざす全国大会など、行政や一般市民を対象にした講演の基礎とすることで、研究成果の還元を行うとともに、25年度の交通政策基本法の成立、26年度の地域公共交通活性化・再生法の改正、27年度の交通政策基本計画への政策提言にも活用した。 さらに、独自のホームページのサイトを立ち上げ、収集したデータのうち、一般公開可能なものについては、そこのサイトで公表も開始することができた。これは、今後の研究等への幅広い応用に貢献できるものである。
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