研究課題/領域番号 |
24530551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
前山 政之 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (50282968)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 監査判断 / 重要性概念 |
研究概要 |
研究実績の概要は以下の通りである。 監査人の重要性判断についての実験研究を行うに当たって、先行研究のレビューとして不足していた監査事務所の審査機能が監査判断に与える影響の先行研究レビューを行った。審査の形式の違いが監査判断のコンセンサス・努力量・保守性等に影響を及ぼすことが明らかになった。これらの知見は、監査人の質的重要性判断の実験を行う際に重要な要素となる。 監査人の重要性判断に関する実証研究は、米国を始めとする海外のものであるので、わが国で行う際には、わが国独自の要因を考慮する必要がある。重要性に関する規定がわが国の監査基準に導入された経緯を歴史的に調査した。「重要な」の英語に当たるmaterialとimportantを区別すること無く基準に導入していたことが明らかになり、このような用語の用法の差異もわが国で実験研究を行う際に考慮すべき点であることが明らかになった。 監査計画段階の重要性判断の実証研究について、監査調書を使った研究は実施が難しいことから、心理学実験の手法を用いた研究に変更するための実験のリサーチデザインとケースマテリアルの作成を行った。心理学実験の手法では、監査計画段階の重要性判断について取り扱える項目に制限があるので、その欠点をカバーするために、監査マニュアルの比較を通じた研究の検討を行った。さらに、監査証拠評価段階の重要性判断の実証研究のために、ケースマテリアルの作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
監査調書を使った研究が難しいことから、その代替手段として、心理学実験の手法を用いた研究に変更したことがある。先行研究にもとづいて、監査計画段階と監査証拠評価段階の両方を同時に検証する研究に切り替えるためのリサーチデザインの設計に時間を要した。さらに、実験研究では扱える重要性判断の項目に厳しい制約があるため、その欠点を補うために、監査マニュアルの比較による研究を追加するためのリサーチデザインの設計に時間を要したこと。 監査証拠評価段階の実験研究のためのケースマテリアルの作成において、参考にしたケースマテリアルが主に米国の先行研究のものであったが、それを日本の監査環境に合わせて修正するのに時間を要したこと。
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今後の研究の推進方策 |
年度の前半は、監査計画段階の実験研究を実施するとともに、監査マニュアルの比較を通じた研究も進める。 年度の後半は、監査証拠評価段階の重要性判断に関する実験研究を実施すると共に、監査調書を用いた研究の可能性についてさらに調整を行う。 成果を論文の形でまとめて、完成したものから、海外を含めた学会等で報告する。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度に残額が生じたが、これは、ノートパソコンの購入費用が当初の予定よりも高く、統計ソフトウェアの購入ができなかったためである。 上記を踏まえ、25年度は、主に以下の項目の使用を計画している。 (1)心理学実験のデータ解析のための統計ソフト、ならびに、公認会計士からの口述調査の分析のための質的データ解析ソフトの購入。 (2)公認会計士からの口述データをコード化する際の研究補助者の人件費。 (3)研究成果を英語論文にまとめる際の英文校正費。 (4)リサーチデザインのレビューならびに、成果報告のための出張旅費。
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