研究課題/領域番号 |
24530551
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
前山 政之 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (50282968)
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キーワード | 重要性判断 / 監査報告書 |
研究概要 |
本年度は、まず下記の事項を追加したリサーチデザインの改訂を行った。第一は、監査人の重要性判断に関する最新の研究が複数発表されていたInternational Symposium on Audit Researchに参加し、そこで報告されていたAlterio et al.(2013)において提示された財務諸表利用者の視点を監査判断時点に導入する(perspective-taking)こと。第二は、日本監査研究学会の課題別研究部会において報告されていた英国における監査報告書改革の動向から、監査人の重要性判断の基準値が公表されることになった英国の監査報告書改革を踏まえて、重要性判断の基準値が公表されることの監査人の判断への影響の考察を心理学的側面と哲学的側面から行うこと。心理学的側面については、前述の財務諸表利用者の視点の導入と、説明責任圧力の強化が判断に与える影響という観点が考えられる。また哲学的側面としては、監査報告書への重要性基準値の記載は、価値判断としての重要性判断における認識意味の共有を促進するものと考えられる。これらの要素の導入によって監査人の重要性判断研究に新しい視点を導入することが可能となる。 第二に、英国において重要性基準値が明示された監査報告書が公表され始めたので、監査報告書の収集を行い、翌年度のアーカイバル研究の準備的作業を行った。税引前利益の5%を基準値としていることが明らかとなったが、その他の情報については企業属性との関連でさらなる調査が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第一の理由は、リサーチデザインについて研究会等におけるコメント対応に時間を要したこと。 第二の理由は、監査人の重要性基準値が掲載された英国の監査報告書が公表され始めたのが、年度の後半であったため、年度内に十分な分析が行えなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に策定したリサーチデザインに基づき、実験研究かつまたプロトコル研究を行うこと。 アーカイバル研究としては、我が国の監査報告書等のデータから監査人の重要性判断に関する実証研究を行うと共に、英国の監査報告書を用いた研究も同時に実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外出張を2回予定していたが、日程等の関係で1回のみになったため。 海外調査等の旅費で使用する予定であるが、統計ソフトの追加分析モジュールの購入も予定している。
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