研究課題/領域番号 |
24530553
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
森口 毅彦 富山大学, 経済学部, 教授 (90293282)
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キーワード | KPI(重要業績指標) / CSF(重要成功要因) / マネジメント・コントロール / マネジメント・コントロール・システム / BSC(バランスト・スコアカード) |
研究概要 |
本研究は,わが国の中小企業が戦略の策定/実行を効果的に行うためのKPI(重要業績指標)を活用したマネジメント(KPIマネジメント)に関するフレームワークを構築することを目的としている。 平成25年度の研究では、昨年度の研究で実施したアンケート調査について,質問票の集計・分析を行い,企業におけるKPIの利用実態を明らかにした。なお,アンケートは、ダイヤモンド社のデータベースサービスD-VISION「役員・管理職情報ファイル」の全上場企業3,547社(2013年1月現在)における製造・販売部門を中心とした担当役員に送付し、268通の回答を得ている(実質回収率7.7%)。アンケートの分析結果より,わが国上場企業においてKPIを導入している企業は47.4%であり,その設定に際しては,「戦略目標を設定し,その達成へ向けた進捗状況を測定する指標として設定している」が69.3%となっており,またその利用目的については,「戦略実行の進捗状況の確認」が83.9%,「組織目標達成への進捗状況の確認」が83.1%などとなっており(複数回答),そのいずれもが活用効果も高いとの結果となっていることから,昨年度の研究で指摘した,戦略の実行を明確に意図した「戦略実行型」としてのKPIの役割が利用実態からも確認される結果となった。 その一方で,今日の不確実な経営環境へ迅速な対応を図るためには,企業の成功に対して重大な影響を与える環境変化を素早く察知し,それに組織的に対応を図ることが不可欠であるとの認識のもとに,KPIの役割・機能を再検討し,「戦略実行型」の機能の他に,「成功要因のモニタリングを通じて環境変化を即座に察知し,迅速な対応行動を起こすことによって企業を成功に導くこと」という「早期警報型」の機能を導きだし,このKPIの2つの機能を内包したマネジメント・システムの概要を構想・提示するにいたっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,わが国の中小企業が戦略の策定/実行を効果的に行うためのKPI(重要業績指標)を活用したマネジメント(KPIマネジメント)に関するフレームワークを構築することを目的としている。 そこで平成25年度の研究では,平成24年度の研究で実施したアンケート調査について,質問票の集計を進め,その結果の分析を行い,企業におけるKPIの利用実態を明らかにしたうえで,KPIを活用したマネジメントに関する理論モデルに基づき構築した調査仮説の検証を行い,KPIマネジメント・システムの可能性について検討を行うことを計画していた。 研究実績の概要でも述べたように,平成25年度においては,平成24年度に実施したアンケート調査の集計・分析を行い,企業におけるKPIの利用実態を明らかにし,平成24年度の研究で指摘した,戦略の実行を明確に意図した「戦略実行型」としてのKPIの役割が利用実態からも確認される結果が得られており,また,経営環境の変化への対応という観点からKPIの役割・機能を再検討し,「戦略実行型」の機能の他に,「成功要因のモニタリングを通じて環境変化を即座に察知し,迅速な対応行動を起こすことによって企業を成功に導くこと」という「早期警報型」の機能を導きだし,このKPIの2つの機能を内包したマネジメント・システムの概要を構想・提示するにいたっていることから,当初の研究計画はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,わが国の中小企業が戦略の策定/実行を効果的に行うためのKPI(重要業績指標)を活用したマネジメント(KPIマネジメント)に関するフレームワークを構築することを目的としている。 本研究の最終年度である本年度の研究では,これまで行ってきた研究の総括を行い,本研究の目的であるKPIを活用したマネジメント・システムに関するフレームワークを構築していくものである。 そのため,平成24年度の研究で実施したアンケート調査について,引き続き詳細な分析を進めるとともに,事例研究も継続的に行い,KPIを活用したマネジメントに関する調査仮説の検証を行っていく。そして,その結果を踏まえ,KPIを活用したマネジメント・システムを成立させる諸条件に関する理論仮説を検討し,KPIを活用したマネジメントに関する理論モデルを構築するものであるが,その際,研究実績の概要でも述べたように,平成25年度の研究成果である,KPIがもつ「早期警報型」と「戦略実行型」という2つの機能に着目し,環境対応型のマネジメント・システムとしてKPIを活用したマネジメントのフレームワークの構築・提示を目指すものである。
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次年度の研究費の使用計画 |
「収支状況報告書」の「次年度使用額」の合計欄は3,173円であり,これは何らかの研究上の意図があって繰り越した額ではなく,本年度交付額の端数残高である。 「収支状況報告書」の「次年度使用額」の合計欄は3,173円であり,これは何らかの研究上の意図があって繰り越した額ではなく,本年度交付額の端数残高である。したがって,次年度に特別な研究上の使途があるものではなく,消耗品費等に加算して使用する予定である。
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