研究課題/領域番号 |
24530554
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
竹島 貞治 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (50312533)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 概念フレームワーク / 事象 / キャッシュフロー / サイクル / 財務諸表 / 財務報告 |
研究概要 |
本年度は、Takeshima and Sorter[2009]モデルとアメリカのサイクルモデル、とくにAICPA[1973]とPaton and Littleton[1940]のサイクルモデルとの比較検討を行い、Takeshima and Sorterモデルにおける稼得サイクルの概念について再定義を行った。 また、Takeshima and Sorter[2009]で提示した投資サイクル、財務サイクル、現金サイクルの概念についてProfessor G. H. SorterおよびProfessor H. M. Maximonとディスカッションを行い、よりオペレーショナルな定義に変更した。 上記の研究成果については、Professor Sorterと共同論文を作成した。本共同論文についてはAccounting Horizonsへの投稿を予定している。 上記に加え、本年度は投資サイクル、財務サイクル、現金サイクル、および稼得サイクルの4つのサイクル概念を用いて現行会計モデルの描写を試み、資産・負債・収益・費用の要素について意味論的分析を行った。その結果、資産や負債は経済的資源や経済的義務を表すことを目的として使用されているのではなく、キャッシュフローによって数値化される事象を分類するための枠組みとして機能している、という見解を得た。(本研究成果については竹島[2012]で発表した。) 近年のIASB/FASBによる概念フレームワークプロジェクトでは、資産・負債を重視するアプローチが採用されている。本研究では、資産・負債よりもキャッシュフローによって数値化される事象とその関係性に着目している。本研究で提示した4つのサイクルを使用した場合、従来とは異なる観点から概念フレームワークを分析することが可能であり、また、会計の新たな概念フレームワークを構築することが可能と見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、Takeshima and Sorter[2009]で表した事象サイクルを用いて財務報告モデルを構築するため、5つの課題を設定した。現在までに、当初予定していたTakeshima and Sorter [2009]モデルとアメリカの2つのサイクルモデル(AICPA[1973]およびPaton and Littleton[1940])との比較検討を行い、1つ目の課題(「事象サイクルのモデル化」)を達成している。よって本研究はおおむね当初の計画通り順調に進展しているといいうる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度にモデル化した4種類の事象サイクル(投資サイクル、財務サイクル、現金サイクル、および稼得サイクル)を用いた場合、従来とは異なる新たな観点から複式簿記の理論を構築することが可能と見込まれる。したがって、今後はサイクル概念による複式簿記の理論について史料にもとづいて研究を進め、会計史学会、ヨーロッパ会計学会等で研究成果を報告したいと考えている。 事象サイクルモデルは、資産負債アプローチ・収益費用アプローチへの代替的アプローチとして位置づけられる。よって今後は事象サイクルモデルとそれらのアプローチとの比較検討を行い、事象サイクルモデルの理論的・実践的意義について、さらに考察を深めていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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