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2013 年度 実施状況報告書

財務会計の概念フレームワークの国際的コンバージェンスに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530557
研究機関立教大学

研究代表者

山田 康裕  立教大学, 経済学部, 教授 (20335160)

キーワード取引 / 簿記 / 未履行契約 / 公正価値測定 / 新自由主義
研究概要

本年の研究では,取引概念の拡大の意味内容を整理し,その社会における意義(取引概念の拡大にともなう社会に対する複式簿記の役割の変化)を明らかにした。とりわけ本研究では,簿記が資本主義に与えた影響について考察した。
未履行契約が認識されることによって,貸借対照表項目の経済的リアリティが増加する。所有権等の移転が生じていなくとも,将来の経済的便益やその犠牲を有するものはオンバランスすることによって,企業の財政状態(究極的には企業価値)をより忠実に表すことができるということである。これは,短期的な視点から企業価値に基づいて投資判断をおこなう投機家にとって有用な情報となりうる。この点は,新自由主義経済の機関投資家資本主義の議論へとつながっていく。
また公正価値測定は,価格変動を認識することになり利益数値の不安定性を招くことになる。これは,短期的な視点から投資をおこなう投機家にとっては,投資機会の増大を意味する。さらに,公正価値測定は貸借対照表項目の期末時点における価値を表すことによって貸借対照表項目の経済的リアリティを増加させることにもなる。これは第1次認識プロセスにおける拡大の場合と同様に,短期的な視点から企業価値に基づいて投資判断をおこなう投機家にとって有用な情報となりうる。これらの点は,新自由主義経済の機関投資家資本主義の議論やバブル依存型経済成長の議論へとつながっていく。
このように未履行契約の認識によって短期的な視点から投資判断をおこなう機関投資家にとって有用な情報が提供されるようになり,新自由主義経済の機関投資家資本主義という側面が助長される。また公正価値測定によっても機関投資家資本主義という側面が助長されるとともに,バブル依存型経済成長という側面が助長される。この点において,取引概念の拡大によって,簿記が新自由主義経済を促進する役割を担ったと指摘できるのである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた会計数値の信頼性そのものを真正面から取り上げることはできなかったが,会計数値の信頼性を担保する重要なシステムである簿記に関して,近年の動向をふまえて,その機能の変容を検討することができたため。

今後の研究の推進方策

今後は,最近の概念フレームワークを巡る議論をふまえ,国際的に,会計基準の統合が進められているなかで,概念フレームワークが有する意義を考察していきたい。

次年度の研究費の使用計画

大学を移り会計システムに不慣れであったため,少しだけ,物品の購入が遅れた。
繰り越す金額も僅少であるため,今年度の未執行分も含め,申請時の執行計画を大幅に変更することなく,来年度に執行することが可能である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 簿記上の取引概念の拡大とその意義2013

    • 著者名/発表者名
      山田康裕
    • 学会等名
      日本簿記学会
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      20130831-20130901
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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