研究課題/領域番号 |
24530565
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
吉田 和生 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30240279)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 退職給付会計 / 未認識債務 / 即時認識 / 年金資産の運用 / 実証分析 |
研究実績の概要 |
平成24年度はアメリカ会計基準を採用している企業を対象に、退職給付債務の即時認識に関するパイロットテストを行った。平成25年度はわが国の上場企業(3月決算企業)を対象に、退職給付会計基準の改正に関するアンケート調査を行った。そのアンケートの概要は以下の通りである。 アンケート実施日:平成25年12月4日、送付企業数:1,228社、回収期間:平成25年12月9日から26年2月10日、回答企業数:253社(回収率20.6%) 平成26年度は当該アンケートについて分析を行った。その分析結果は次のとおりである。(1. 遅延認識から即時認識へ変更されたことの理解について)当該変更を知っていた企業は259社、知らなかった企業は5社となっていた。企業のほとんどが即時認識への変更について知っていたようである。(2. 即時認識に対する意見について)即時認識に対して賛成の企業は91社、反対の企業は17社、どちらでもない企業は156社となっていた。即時認識に対して強い反対は余りないと考えられる。(3. 確定拠出年金DCの利用度について)DCを利用していない企業は128社、利用している企業は134社となっていた。また、利用している企業の中では多くが50%以下の利用割合であった。DCの利用は広がりつつあるが、部分的な利用に留まっているようである。(4. 即時認識への変更による影響について)P/Lへの影響が27社、B/Sへの影響が169社、その他が13社、影響なしが55社となっていた。即時認識の影響として、負債への影響を重視する企業が多いことが分かる。(5. 上記の影響を抑える方策について)対策を実施している企業は54社、実施していない企業は207社となり、対策を実施している企業はあまり多くないようである。その対策としては、退職金制度の変更と年金資産の安全運用がほぼ半数ずつとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は平成25年度の年度末に実施したアンケート調査(退職給付会計の基準変更に関するアンケート)の集計及び分析を行った。その集計作業に意外と時間がかかり、分析結果を整理してまとめるのが少し遅れたと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の秋に平成26年3月決算期データ(日経NEEDSデータ)を入手した。次年度(平成27年度)においては、このデータを使って、大量データを用いた実証分析に取り掛かる予定でいる。その際、これまで行ったアメリカ会計基準を採用している企業に限定したパイロットテストをベースにするが、より一般的な企業への拡張において、どのような修正が必要かどうか、慎重に吟味する必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、昨年度の年度末に実施したアンケート調査の集計及び分析を行った。回収企業数が予想外に多く、そのデータ入力、集計作業、そして、それを基にした分析に時間を費やしてしまった。このことが研究計画の多少の遅れの原因となっている
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次年度使用額の使用計画 |
次年度においては、今年度に購入した日経NEEDSデータを使用して実証分析を行う。その分析に追加的なデータが必要であれば、それを購入する。また、分析を行うにあたり必要な計量ソフトを購入する予定でいる。
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