研究課題/領域番号 |
24530569
|
研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
中嶋 隆一 明海大学, 経済学部, 教授 (50217733)
|
キーワード | スイス会計制度 / EU / 財務報告 / 中小企業会計制度 / IFRS / FER&ARR |
研究概要 |
本研究の目的は、日本と同様に中小企業が大多数(250名未満の会社数99%)を占めるスイスを中心に、新国内会計基準として構築されたFERとの財務報告上の関連性及び影響に関して、調査、分析し、そこで得た知見をわが国の中小企業制度の今後の制度設計に貢献させることを目的としている。 研究計画の実施計画としては、平成24年度から平成26年度までを研究期間とし、主につぎの3点の研究計画を実施する。 ①スイス国内中小企業のFER適用状況の実態調査、②資金調査方法をめぐる金融機関とスイス中小企業の財務報告の役割に関する実態調査、③スイスGAAP-FERと日本の中小企業会計制度に関する規定内容の比較分析と最終成果のまとめ。 上記の目的および実施計画にしたがい、H24年度およびH25年度の2年間でスイスおよび近隣諸国の中小企業の会計制度と財務報告の関連性について実態調査する予定であったが、実際には海外調査の実施が約1年遅れたため、実態調査はスイスのチューリヒ大学IBW研究所およびパリ大学を訪問し資料収集とインタビュー(チューリヒ大学Prof.Dr.Pfaff)に留まった。このため、スイス国内で当初予定していたBX証券取引所、ザンクト・ガレン大学中小企業研究所、ジュネーブIMDセンターはH26年度に訪問することとし、同時に国際財務報告基準(IFRS)との係りおよび近隣諸国の企業の財務報告の実態を引き続き調査する予定である。 研究協力者の助言等を仰ぎながら、財務報告の透明性に関連してスイス新会計法とFERとの係りについても調査・研究したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定していた研究協力者が他の科研費研究と重なったこと、現地での調査・分析の協力者として予定していたガイドが仕事上の都合で国外での実態調査実施日の調整ができなかったこと、等が重なり、当初予定していた「研究の目的」のうち実態調査は大幅に遅れることとなった。H24年度に予定していた海外実態調査は1年遅れで実施することとなり、H25年度予定分は実質的にH26年度の実施に繰り越され、そのため当初予定のH26年度分析も同時並行的に進める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
H25年度に実施する予定であったスイス国内の研究機関・金融機関とスイス中小企業の財務報告の役割に関する実地調査を予定している。とりわけ、金融機関と中小企業の連携度および財務報告の重要性に関して調査するとともに、FERの適用度合との関連性を分析する予定である。実施調査に際し、連携協力者等の協力を仰ぎ、訪問インタビュー、紙媒体閲覧、インターネットによる情報収集をおこなう。また、同時に、最近のテーマとして話題となっている統合報告と財務報告の関連性についても、スイスのみならず、近隣諸外国の状況を調査し、企業報告にどのような影響がでているかも同時に検証したいと考えている。また、可能であればIFRS4(保険契約)について、世界第2位の保険実績を有するスイスの実情についても検証したい。 さらに研究最終年度として、これまでに収集した資料・分析結果をもとに、日本の中小企業会計制度とスイスGAAP-FERとの規定内容等の比較分析を併せておこなう。分析にあたっては、統計的手法を用い、定量的・定性的に調査結果をまとめる。その際、アシスタント等の協力により実施し、分類整理をおこなう。最終的には、本研究で得た知見を学会・論文等で公表する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
H24年度の使用計画が大幅に遅れたため、H25年度予定の海外調査が1年遅れとなり、その分次年度直接費の使用額が大きくなっている。H26年度は前年度に予定した海外調査を実施し、さらにH26年度予定の資料分析も並行して実施することとなる。 遅れた理由は、予定していた研究協力者との仕事上の調整に手間取り、海外調査が遅れたことが最大の理由である。そのため、当初予定していた海外渡航調査費が次年度繰越となり次年度使用額が生じている。 H26年度はスイス企業に影響を及ぼしていると考えられる近隣EU諸国(予定ではフランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、イタリア等)の研究機関、金融機関およびスイス国内の研究機関と金融機関について会計制度事情を巡る資料収集および企業報告に関連する情報収集を実施し、同時に中小企業の財務報告の重要性について検証する(主にスイスおよび近隣諸国の関連機関への渡航費および情報収集費用)。 現地調査実施後は、速やかに資料整理・分析を行い課題研究テーマに関して学会・論文・出版等で一定の成果を公表したい(そのための分析費用、保管費用、謝礼等含)。現地での資料収集および資料の整理分析にあたって協力者(アシスタント等)への諸費用も予定している。
|