研究課題/領域番号 |
24530570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
高橋 邦丸 青山学院大学, 経営学部, 教授 (10276016)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 顧客関係性戦略 / コスト凝集性 / 収益性分析 |
研究概要 |
本研究では、主要顧客との関係性を長期的に維持するための企業行動および業績への影響について、企業ライフサイクルとコスト凝集性の概念を用いて分析を行った。企業において、特定顧客との関係性を構築したり、発注手続きなどのインターラクションコストを引き下げるためなどに投資活動が行われるが、これらの投資額の大きさは企業ライフサイクルの段階によっても異なることが予想される。本研究では、財務データを因子分析することによって、企業ライフサイクルを成長、成熟、衰退の3つに分類を行うとともに、各段階における企業行動や投資活動が異なるかについて1998年から2010年までの日本企業の財務データ(12,261企業・年)をもとに分析を行った。その結果、衰退企業と比較して成長企業では、顧客関係投資額が大きく、たとえ売上高が減少しても投資額が減少せず維持されることが明らかとなった。 また、上述した顧客関係性行動や投資が業種ごとにより違いがみられるかについて、サンプルを製造・非製造業に分類して分析を行った。分析の結果、非製造企業よりも製造企業において、成長段階にある企業のほうが顧客関係投資が大きいことや、長期的に投資額を維持することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、顧客関係性戦略について関係性構築のための投資という観点からいかなる測定尺度をもとに分析を行うかが重要な課題であったが、企業ライフサイクルの概念を用いることによって顧客関係投資の大きさや長期的な支出額について測定することが可能となった。 また、企業行動の測定尺度についても、コスト凝集性の考え方を用いることによって、企業ライフサイクルの各段階において顧客関係投資行動がどのように異なるかについて分析が試みられている。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は主要顧客との関係性を長期的に維持することによる企業行動および業績への影響について、企業ライフサイクルの概念を用いた分析を試みたが、今年度はこの分類を再検討することによってより顧客関係性投資行動が明確化することを目指す。また、顧客関係性戦略の遂行について、1期間の業績だけではなく長期的な収益性分析や企業価値への影響についても分析を試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
アメリカ会計学会での研究報告や共同研究者との打ち合わせに伴う旅費・出張費として100万円、書籍の購入に10万円、統計ソフトの購入に10万円、その他消耗品等の購入に10万円の使用を計画している。
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