研究課題/領域番号 |
24530572
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
太田 康広 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 教授 (70420825)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 保守主義 / 業績評価 / モラル・ハザード / ディスクロージャー |
研究実績の概要 |
会計システムのインストール費用がかかる有限責任制約付きバイナリ・モラル・ハザードのモデルの分析については、概ね作業が終わり、投稿準備段階にある。会計システムがより詳細なシグナルを要約してバイナリ・シグナルを生成するような、有限責任制約付きのバイナリ・モラル・ハザードのモデルについては、無条件保守主義の設定に対しては比較ゲーム分析その他、詳細な分析が終了している。しかし、条件付き保守主義の設定に対しては、解の存在証明や条件付き保守主義の証明で障碍にぶつかっている。以前、簡略化した設定で証明が得られているので、最終的には簡略化した設定を分析することも考えたい。簡略化した設定であっても比較静学ができれば、十分な意義があると考える。
また、共同研究で、確定決算主義が利益マネジメントと節税に与える影響をモラル・ハザードの設定で分析し、一定の成果を得た。こちらの成果は国際学会で報告したときのコメントを受けて、追加分析を実施する予定である。
これに加えて、バイナリ・ステートの完備市場のディスクロージャー・モデルにおける保守主義の意義の分析を開始している。意思決定影響機能の文脈において保守主義を評価するだけでなく、意思決定促進機能の文脈において保守主義を評価することも重要である。具体的には、リスク選好に違いのある経営者と投資家を考えて、企業業績についてノイズを含んだ会計情報が先に得られるとき、リベラルな会計システムが選好されるか、保守的な会計システムが選好されるのか、また、もし保守的な会計システムが選好されるとしたら、それはどのような条件下であるかを調査している。このモデル分析は、財務会計の概念フレームワークにおいて、近年、保守主義が取り除かれたことに対して、直接的な政策インプリケーションを与えることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より、一般的な設定で分析するなど、いくらか野心的な目標を掲げたため、分析が難航しているが、より簡略化した設定における結果はすでに出ているので、設定を簡略化することで、比較的短期間で成果をまとめることができるように思う。
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今後の研究の推進方策 |
もうしばらく一般的な設定で分析を進め、進展が見られないようであれば、簡略化した設定へ切り替えて、論文にまとめる予定である。
一方、業績評価をともなわないディスクロージャーのモデル分析については、どのような結果が出るか予測がつかないが、比較的簡単なモデルであるので短期間で結果を出す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
このテーマの研究のまとめと発表が次年度にわたることになったため、次年度に必要とされる経費を見積もって、次年度繰越とした。
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表のための旅費と英文校正料、ジャーナル投稿料を見込んでいる。
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