次の2つの監査法人の監査拒否の問題について、ゲーム理論を基礎にした経済実験を実施した。第1は、存続性に重大な疑念がある企業に対する大手監査法人の監査拒否の問題である、監査難民問題と呼ばれる。難民となった企業の監査を最終的に託されるのは中小の監査法人であり、その独立性に懸念が生じた。実験ではこの懸念は証明されなかった。また新興企業が上場する際に、監査法人が保守的になり監査拒否をする可能性が指摘され、監査人の損害賠償責任と関係があるとされていたが、実験では明確な関係は示されなかった。しかし質の悪い経営者が増加すると、経営者の質の調査に十分な努力が傾けられず、投資家の投資も減少することが示された。
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