研究課題/領域番号 |
24530582
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大塚 宗春 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (60063749)
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研究分担者 |
川村 義則 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (60247244)
福島 隆 明海大学, 不動産学部, 准教授 (80339671)
金子 良太 國學院大學, 経済学部, 准教授 (80350411)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 公会計の統一的会計基準 / IPSAS / FASAB / GASB / 天然資源の会計 |
研究概要 |
本年度は、4回の研究会を行い、研究の進捗状況および今後の計画を確認した。そして研究成果を日本会計研究学会年次大会(一橋大学)で報告し、論文1編および研究ノート1編を公表した。 本年度の目的は、わが国の公会計基準間での比較検討を行うことであった。そこで、研究代表者、分担者および大学院生を交えた研究会においては、比較対象の検討、公的部門における天然資源の会計処理および固定資産の会計処理について分担者による報告および議論が行われた。また、海外の公会計基準にも議論が展開され、来年度以降の研究に向けた有益な検討が行われた。 さらに、研究分担者が現在進行中のプロジェクト(地方公営企業会計・NPO 会計等)に参加した。これによって、研究面では資料に示された会計基準に反映されなかった多様な意見について検討する基礎資料が得られたことにもなる。 そして、研究の成果として、金子良太准教授が論文「非営利組織におけるボランティアの会計」を早稲田商学第434号において公表した。当該論文では、ボランティアとその他の寄付の会計処理はなぜ異なるのかという問題意識に基づき、日米比較を行いながら、ボランティア活動の開示の在り方について検討している。また、川村義則教授が研究ノート「天然資源の公会計」を早稲田商学第434号において公表した。当該研究は、天然資源に関連する収入がわが国において重要であると考えられるにもかかわらず、それらの収入を国家財政に取り込むしくみ、およびそれらに関する公会計情報を提供するしくみについてわが国ではほとんど議論がなされていないことに鑑み、天然資源の公会計について予備的な調査を行ったものである。そして、同研究では、天然資源の報告に内在する公会計上の問題は、企業会計における無形資産の報告をめぐる議論が参考になることを指摘している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究成果を日本会計研究学会年次大会(一橋大学)で報告し、論文1編および研究ノート1編を公表することができた。 本年度の目的は、わが国の公会計基準間での比較検討を行うことであった。しかし、研究会においては毎回海外の公会計基準にも議論が展開され、来年度以降の研究に向けて有益な検討が行われた。 また、研究分担者が現在進行中のプロジェクト(地方公営企業会計・NPO 会計等)に参加し、研究面では資料に示された会計基準に反映されなかった多様な意見について検討する基礎資料が得られたことにもなる。 したがって、来年度以降に向けた十分な準備を行うことができ、短期間で一定の成果を挙げられた点で、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、米国の公会計基準とIPSAS (国際公会計基準)を中心に研究を行う。米国の会計基準設定主体にはGASB・FASB・FASAB があるが、各会計基準間には相違が見受けられる。こうしたことから、平成25 年度の研究では米国公会計基準やIPSAS の会計処理と、その背後にある複数の考え方を明らかにする。オーストラリア(資産の評価・発生主義予算等)、ニュージーランド(発生主義会計導入プロジェクト等)、イギリス(政府全体財務諸表等)、韓国(発生主義会計情報の法定化およびその検査)の会計基準も部分的に参照する。連結プロジェクトや現在の連邦・地方政府の財政危機に対応する会計情報の今後の展開についての知見を得るには、文献調査だけでは限界がある。そこで、GASB 等の会計基準設定主体においてインタビュー調査や外部講師の招聘を行う。 そして、平成26年度は、3年間の研究の集大成として、海外基準を含めた比較研究を行う。FASBやGASBの基準改定による影響や実証研究の知見を得るために、AAA(アメリカ会計学会)の全国大会(8月の予定)や公会計部会(時期未定)に参加する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、海外訪問調査のための旅費、外部講師招聘のための謝金、文献費などに使用する。
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