研究課題/領域番号 |
24530586
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
戸田 統久 近畿大学, 経営学部, 講師 (70550052)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 企業情報開示 / 統合レポーティング / 学際的研究 |
研究概要 |
本研究は「統合レポーティングによる無形資産情報開示の学際的研究」をテーマとした期間3年の研究であるが、平成24年度(当該年度)はその初年度であった。当該年度は「企業情報開示に関する学際的研究(学際的基礎理論研究)」を研究課題として、①社会学的アプローチによる企業情報開示制度設計の理論研究、②経営戦略論を含むビジネスプロセス開示の理論研究、③情報ニーズと財務報告の限界に関する理論研究の3つの区分課題に取り組む予定であったが、研究はおおむね順調に実施することができた。本年度に発表した研究成果は以下のとおりである。 i 国際会計研究学会第29回全国大会(H24年度9月23日)にて研究報告済み(自由論題報告:「制度の論理による共有価値創造企業と統合レポーティング」)。 ii 国際会計研究学会年報に投稿済み。未発行・掲載決定(論文タイトル:「制度の論理による共有価値創造企業と統合レポーティング」)。 iii 商経学叢(近畿大学学内紀要)に投稿済み。未発行(論文タイトル:「共有価値創造時代における統合レポーティングのあり方について」)。 上記3つの発表済み研究成果のうち、iiの論文はiの学会報告にもとづく論文であり、査読の結果、掲載が確定している。また、iiiは学内紀要であり、査読は付されていない。これらはいずれも、2011年9月に公表された統合レポーティング・フレームワークの公開草案をベースとして、学際的視点(とくに経営戦略論の視点)から企業レポーティングの理念型を提示することを試みたものである。公開草案の公表以降、財務会計の視点や環境会計や社会的責任会計の視点から統合レポーティングを把握して論じた研究成果はいくつかあるが、上記研究成果は、とくに戦略論の視点とビジネス・モデル開示の視点から統合レポーティングを論じている点に独自性と意義を有する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究実施計画では、平成24年度には「企業情報開示に関する学際的研究(学際的基礎理論研究)」を実施する予定であり、具体的には①社会学的アプローチによる企業情報開示制度設計の理論研究、②経営戦略論を含むビジネスプロセス開示の理論研究、③情報ニーズと財務報告の限界に関する理論研究を進める予定であった。 これらに関しては、おおむね当初の計画どおりに実施することができたと考えている。とくに②については、学会報告、査読論文への投稿(未発行・掲載確定済み)および学内紀要への投稿を終え、研究目的を達成することができた。また①に関しても、論文等による研究成果の発表はまだ充分とはいえないものの、倫理学(とくにビジネス・エシックス)やステークホルダー理論および功利主義哲学の視点からの企業情報開示の基礎理論研究は佳境にさしかかっており、現在は論文執筆中である。また、これついての研究成果は本年度9月に学会(第79回日本会計研究学会)にて報告予定である。さらに、③についても、1990年代から現在に至るまでの国内・海外の文献サーベイはある程度完了している。今後はこれら①~③の研究成果をとりまとめることによって企業情報開示に関する学際的基礎理論研究に一定の結論を導き出したい。 また、平成25年度(次年度)の研究計画として、「統合レポーティングの制度およびモデルに関する研究」を交付申請時の研究計画書に記載したが、その細目のうちの「統合レポーティングに関する先端理論研究」は、昨年下半期より前倒しで着手している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度(次年度)の研究課題は「統合レポーティングの制度およびモデルに関する研究」であり、その細目として①各種企業レポーティング・ガイドラインの内容と歴史的経緯の研究、②各種企業レポーティングの事例研究、および③統合レポーティングに関する先端理論研究である。 前述のとおり、③に関してはすでに着手しており、①②についても、文献と各種資料を収集中・整理中である。平成24年度の研究課題である「企業情報開示に関する学際的研究(学際的基礎理論研究)」の研究成果を基礎として、これらを分析していく予定である。とくに②については、各種企業レポートの事例を数多く収集し、それらの内容を手作業で整理・分析していく作業が必要であるため、多くの時間と労力を必要とする。これについては平成25年8・9月に集中的に実施し、12月までには作業を終了したい。 また、研究計画最終年度である平成26年度には、当初の予定どおり「統合レポーティング・モデル(フレームワーク)の研究」に取り組んでいく予定である。 また、平成24年度の研究課題であった基礎理論研究については、学際的アプローチによる深遠な課題であるため、これまでの研究成果をさらに深化するべく平成25年度および平成26年度も文献サーベイを中心に継続的していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度研究費(次年度使用額 471,954円)の生じた主な理由およびその使用計画は以下のとおりである。 交付申請時の研究計画では当該年度(平成24年度)に設備備品(ノートパソコン(30万円)とレーザープリンタ(10万円))を購入予定であったが、それらが未購入であった。これは、当該年度末にノートパソコンのOS(Windows8)がバージョンアップ直後であったため、OSの動作安定性と各種ソフトウェアとの親和性を見極めるべく購入を見送ったためである。また、レーザープリンタの購入も、新OS搭載のノートパソコンとの親和性(相性)を考慮して購入を見送っている。購入を見送った上記設備備品は次年度中に購入する予定である。 また、現在は次年度の研究課題に必要な文献と各種資料を収集中であるが、それらの整理と分析(各種企業レポートの事例研究の分析)にあたっては、内容分析をはじめとして多くの作業が必要となるためアルバイトの雇用が必要となってくる可能性が最近判明した。これにともなう支出(人件費)については、交付申請時の研究計画書における次年度(平成25年度)の使用内訳の「その他」項目から、必要に応じて充当したいと考えている。
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