研究課題
本研究では、まず、重要な不備開示企業(MW企業)における重要な不備の種類、決定要因を検証した。その結果、重要な不備は決算プロセスが最大数であること、重要な不備はセグメント、赤字比率、監査の質と有意な関連性を有することが明らかとなった。これは、わが国は内部統制自体の整備と内部統制報告書の開示要請とが同時にすすめられた結果と思われる。また、事業が複雑であるほど、赤字比率が高いほど、BIG4監査法人でないほど、重要な不備を開示する傾向であることもわかった。つぎに、MW企業とペアサンプルについて、日本版企業改革法(J-SOX 法施行前後の会計発生高の質、予測精度、裁量行動の変化を分析した。その結果、MW企業は、J-SOX法施行以降も会計的裁量行動が観察されたが、統制企業はJ-SOX法施行以降実体的裁量行動が観察されなくなった。一方,統制企業の会計的裁量行動は、会計発生高の質が会計発生高と有意な関連性を有していないため、情報伝達的意図を有するものに変更した可能性が高い。さらに、「内部統制とITに関するサーベイ調査」を実施しJ-SOX 法公表後における日本企業の内部統制に対する意識および現状を探った。サーベイの結果、経営者は内部統制に対してかなり積極的であること、ダイレクト・レポーティングを採用していない制度に対して一定の評価を与えていること、J-SOXへの対応が内部統制やガバナンスの強化に有効と評価していること、導入当時よりも財務諸表監査および内部統制監査を高くとらえ、内部統制の現状を肯定的に捉えていることがわかった。以上の成果は、著書Earnings Management and Earnings Quality: Evidence from JapanとしてJ-SOX前後における経営者の裁量行動および利益の質の変化は、Managerial Audit Journalに掲載された。
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Managerial Auditing Journal
巻: 30(4/5) ページ: 482 - 510
http://dx.doi.org/10.1108/MAJ-06-2013-0890
An Analysis of Japanese Management Styles, Business and Accounting for Business Researchers, Maruzen
巻: - ページ: 22-33
巻: - ページ: 183-212