交付申請書に記載した「研究の目的」では、「経営合理化がなかなか進まない自治体病院にあって、経営改善の取組みにより財務改善を達成した病院事例をもとに、統計的分析により経営改善努力と会計数値の関連性を明らかにする」とし、「研究実施計画」(平成24年度及び平成25年度)に従い、主に、研究Ⅰ:研究対象病院から提供していただく1次財務データのコンピュータ入力と、その統計的分析及び継続的インタビュー調査、研究Ⅱ:全自治体病院の公表データの分類整理と、その分析を行ってきた。 平成26年度以降も、データ入力・分析・インタビュー調査は1度/月のペースで行うが、教育・校務活動が多忙であることを考慮し、数ヶ月の予備期間を計画していた。それでも期間不足が生じ、特にインタビュー調査で遅れがみられたものの、研究対象病院の経営改善に向けた取り組みと、会計数値との関連性は特徴付けられた。しかし、全自治体病院の公表データの分類整理は終了したものの、会計データに類似した動きがある他病院のデータ分析が精緻に行われておらず、当該病院へのヒヤリング調査が終了していない関係で、研究対象病院の特徴が、比較検討及び一般化できていない。 研究対象病院は、患者満足度の向上とスタッフの待遇改善、及び診療報酬などの政策変更に即した医業収益の改善に特徴があり、類似病院との比較による一般化はほぼ可能となっているが、医業費用では、人件費及び材料費や経費(委託費など)その他費用項目について、過去10年間の推移の中での特徴付けに試行錯誤となっていることが現状である。学会発表で頂いたご指摘の中で、「特定項目に焦点を当てた分析」の必要性が生じ、その抽出と分析を進めている。
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