研究課題/領域番号 |
24530597
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 俊樹 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (10221285)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 該当せず |
研究概要 |
本年度には、自己産出系の理論モデルの改良を進め、特にシステム境界のあり方について研究をふかめた。一般的には自己産出系のシステム境界は内/内でない(=外)を指示する2値コードによって示されると考えられている。しかし、実際には、社会の自己産出系は意味的に構築されるものであり、電子回路のような厳密な2値性を必要としない。最終的には内/内でないの2値に翻訳されるものではあるが、さまざまな多様性をふくみうる。 その点を、主に政治システムの事例から経験的に検証するとともに、より弱い形での境界をもつ自己産出系の可能性を探りだした。 一方、視覚的な表現の可能性については、都市の自己産出系の研究を発展させる形で、いくつかの試みを行った。本来、時間的に成立する自己産出系を無時間的な二次元の画像で表現することにはいくつかの困難がともなう。それらの性質を見極めつつ、視覚的な表現によって大きな誤解へと導くことなく、系のあり方の整合的な理解を容易にしていく工夫について、重要な示唆が得られた。 また、上記二つの研究の成果の応用として、社会学の入門的な書籍を共同編著者としてつくった(平成25年度中に刊行予定)。自己産出系論と密接に関連する内部観察の概念をつかって、社会学とは何かをより体系的に解説するとともに、社会学固有の思考スキルをよりわかりやすい形で提示したが、その際に、視覚的な表現手段について試行錯誤を重ねた経験が大きく役立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己産出系の理論モデルの改良については、ほぼ当初の計画通りの成果が得られているが、視覚的表現の習得に関しては、研究担当者の側での経験が不十分だったため、初歩的なところで試行錯誤がつづき、予想以上に多くの時間と労力を費やしている。その点で当初の見込み通りにいかない部分があった。、
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今後の研究の推進方策 |
自己産出系の理論モデルの改善については、現在の作業を継続する。視覚的表現の発展については、初年度の試行錯誤をふまえて、今後はもっとスピードアップを図りたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
自己産出系の理論モデルに関する文献の購入の他、視覚表現に必要なハードウェアおよびソフトウェアをいくつか新たに購入して、設備面をより強化する。
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