本プロジェクトの目的は、社会構造の変動が人びとの社会意識に与えた影響を、数理的および計量的アプローチにもとづいて明らかにすることであった。本プロジェクトでは、いくつかの社会調査データをもちいた分析を通じて、主として3つの知見を明らかにした。一つは、未婚化・晩婚化の進行によって、かつては社会的地位とはみなされていなかった婚姻以上の地位が人びとの階層意識に影響を及ぼすようになったということである。さらに、一般的信頼には二つのタイプがあり、そのため民主化と一般的信頼の関係は非線形なものになるということである。最後に、格差社会の現れとともに、人びとの階層イメージが大きく変容したことである。
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