研究課題
研究課題に関連して代表研究者は主に日本やインドにおいて伝統的低職位に属する皮革業(皮なめし業)を英国の状況と比較し、職制に関する大きな変化が英国でみられるのがギルドが成長する15-6世紀以降であったが、それには皮革製造と販売にかかわったディアスポラ移民としてのユダヤ人の活躍が大きかったことを確認した。また、アジアではユダヤ人と同様ディアスポラ移民である客家が同種のセクターに大きく関連し、アジアの植民地支配下の軍事産業と結びついた皮革業によって自集団を発展させていた。近代国家における軍需産業とともに成長した皮革産業の拡大が地位向上に大きく関係していることが考察された。日本の皮革業従事者が近世を通じてギルド的な成長を遂げることはなかったものの、逆に近代化とともに軍需産業と結びついた新たなセクターとして一般地区からの職工とともに専門職として評価された時期があったことも判明した。つまり近代化のなかで職制によって専門職のアイデンティティをもちえたが、それがむしろ「被差別民」として他集団と同一化され、専門性を否定されていったのではないかという疑問が生じた。また、共同研究者の小川による介護セクターに携わるインドネシア・フィリピンから東アジアに流入する女性たちの研究においてもその職制の地位が近代的な医療制度のなかでの位置づけに関連するものであり、植民地下のフィリピンとインドネシアにおける近代医療・看護制度に職制の位置づけが深くかかわっていることが判明した。現在代表研究者は近代化と皮革業にかかわったディアスポラ集団の比較研究について執筆中であり、共同研究者は2016年に東京大学大学院に提出予定の博士論文のなかでこの点を論じているが、重要な論点をさらなる共同研究によって発展させたいと考えている。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 9件) 図書 (3件)
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