近世-近代移行期における曳山祭の変容に対する近代化のインパクトについて検討した。インタビューや資料収集による調査をおこなった全17祭礼のうち、明治期の動向がある程度追跡可能な3祭礼(山口祇園会、八戸三社大祭、鳥取東照宮祭礼)について比較検討した結果、祭りの神事としてのオーソドキシーと神賑行事としてのオーソプラクシー、そして両者をつなげるインデックス性の3つの要素からなる祭りの意味論的構造が、近代化による価値体系と社会的資源環境の変容によって破壊されるか、あるいは刷新されるかによって、祭りの盛衰が決定されることが示唆された。
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