研究課題/領域番号 |
24530616
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
伊藤 智樹 富山大学, 人文学部, 准教授 (80312924)
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キーワード | ナラティヴ / ナラティブ / ピア・サポート |
研究概要 |
平成25年度の研究成果として、在宅療養の中できわめて重要な位置を占めると考えられるピア・サポートに関して、基本的な視座であるナラティヴ・アプローチの整備と、事例分析への応用とのいずれをも含む研究成果を発表したことが挙げられる。具体的には、日本社会学会第86回大会(2013年10月12-13日、慶應義塾大学三田キャンパス)における一般研究報告「ピア・サポートの社会学に向けて」、および、編著『ピア・サポートの社会学――ALS、認知症介護、依存症、自死遺児、犯罪被害者の物語を聴く』晃洋書房,2013年11月)の出版を挙げられる。これらの研究実績によって、今後在宅療養を考えていくにあたっては、医療システムや福祉サービスを整備するだけでは不十分であり、それらのシステムやサービスが、個人が病いのプロセスを生きる自己物語にどう結びつき、活かされるかという次元への着眼が今後ますます重要になることが示されたと考える。 その他に、在宅療養にも関心をもつ医療者等の研究会においても、セルフヘルプ・グループをテーマとして研究報告を行い、活発なディスカッションを行った(「コミュニティにおけるセルフヘルプ・グループの機能と可能性」Medical Studio コミュニティ医療デザイン研究会、2013年9月15日)。 本年度計画に含まれていた、取り扱う事例の追加、差し替え等について、点検と再検討を行い、それに関する情報収集。申請者のいる地域において、高次脳機能障害に関するピア・サポート推進の機運が高まり、またその背景として、高次脳機能障害を抱える本人および家族が在宅療養において直面する困難の実態が、まだ十分には明らかにされていないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までの準備を書籍刊行という形にすることもできた他、今後の展開についても周到に見当することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、在宅療養の中できわめて重要な位置を占めると考えられるピア・サポートに関する成果を出せたが、ピア・サポートがすべてというわけではない。専門職も含めた支援者や家族とのかかわりについても研究の余地がある。今後は、ALSを事例としてその作業にあたる。また、高次脳機能障害に関する準備的な調査を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入予定だった書籍の一部について、購入計画内容の再吟味の意味もあり、次年度購入とした。 研究計画の進行と変化に合わせ、研究計画の具体的内容に合った書籍購入を、適宜行う予定である。
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