研究課題/領域番号 |
24530619
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
竹ノ下 弘久 上智大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10402231)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 移民の統合政策 / 受け入れの文脈 / 職業的地位 / キャリア移動 / 非正規雇用 / グローバル化 / 機会の不平等 |
研究概要 |
本年度は、欧米の移民研究で行われてきた議論を大きく参照する形で、分析モデルの構築を行った。国籍や移民集団によって、日本への国際移動の文脈、日本での受け入れの文脈がどのように異なるのか、これまでの先行研究にもとづき議論を整理し、計量分析に必要な仮説の構築を行った。これらの点についての研究を進めるために、2012年8月にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催された国際社会学会の大会、および、2013年1月にイスラエルのテルアビブで開催された国際社会学会の移民部会の大会に参加し、研究報告を行った。あわせて、分析モデルや仮説の構築のための資料収集を行った。とりわけ、これまでの地方自治体や中央政府が、地域に住む外国人住民を対象に実施してきた包摂プログラムに注目し、そこから、日本社会における移民の受け入れの文脈の変遷について考察した。 国際移民のおかれている状況を、出身国の文脈から検討するために、2012年8月には日系人移民をこれまでに多く輩出してきたブラジルのサンパウロを訪れ、日系人関係の団体、組織を訪問し、インタビューと情報収集を行った。 計量分析のために必要な分析モデルの構築を、地域社会の観点から行うため、外国人支援組織の活動に参加し、情報収集を行った。また、横浜市鶴見区役所が実施した外国人児童・生徒の教育についての調査研究事業に参加し、そのなかで、鶴見区内の公立の小中学校の教員や外国人児童、生徒を対象とする支援事業に取り組んできた団体、組織を対象としたインタビュー調査を行った。これらのインタビューによって、計量分析のために必要な情報の収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に進展している理由として、研究計画と関連しているものの、計画以上のことを以下の2点実施したことによる。第1に、移民の出身国でおかれている状況について情報を収集するため、2012年の8月にブラジルのサンパウロで、資料収集を行ったことである。サンパウロ人文科学研究所を訪問し、これまでに同研究所がブラジルの日系人を対象とした調査研究に関する資料を集め、同研究所の研究員とブラジル国内の日系人のおかれている状況について意見交換を行った。第2に、横浜市鶴見区が実施した外国人の子どもの教育に関する調査研究事業に参加する機会を得たことで、地域における移民受け入れの文脈について詳細なインタビュー調査を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、分析モデルや仮説の構築も並行して行いながら、2009年度に静岡県庁が行った外国人調査のデータの計量分析を中心に行う。次年度に使用予定の研究費として28620円が生じた状況は、当初予定した資料の購入を行わなかったことが関係している。また、2012年4月に国立大学から私立大学に異動して、科研費の使用規定に若干の変更が生じたことも関係している。以前の大学では、執筆した英語論文を業者に委託してネイティブチェックを実施した場合の経費は、物品費として計上していたが、本学では、その他として計上されている。論文のネイティブチェックを想定よりも少なく実施したことも一つ関係していよう。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はこれらの研究費は、翌年度以降に請求する研究費とあわせて、図書費または、英語論文のネイティブチェックのいずれかで使用予定である。残額が30000円弱生じた分と合わせて、今年度は、おおむね以下のことに使用予定である。引き続き、物品費としては仮説構築のために必要な図書を購入する。また、統計分析や論文執筆に必要なPC関連の備品や消耗品もあわせて購入する。旅費としては、本研究の仮説構築の示唆を得るため、国際学会に参加し研究の中間報告を行う。その分の旅費を計上し使用する。謝金はデータ整理のために、大学院生の助力を得て行うため、それにあてる。また必要に応じて、海外の研究者を講師として招き、専門的知識を提供してもらう。その他は、近距離の交通費として、分析結果の会社のに必要な情報を集めるため、フィールドワークを行うことから、それにあてる。また、英文校閲の費用もここに計上する。
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