本研究は、人口減少下の日本社会において、海外からの移民の社会的統合についての比較研究を行った。具体的には、移民の国籍や法的な滞在地位といった受入の文脈の相違が、2000年代後半に起こった経済危機下における失業経験にどのような違いをもたらしているのか考察した。本研究では、非熟練労働に従事する移民労働者に注目し、静岡県の移民を対象とする質問紙調査のデータを用いて分析を行った。分析の結果、国籍間の失業率の相違の一部は、研修・技能実習生の比率の相違から生じていること、移民のなかでも日系人の失業率が高く、その理由は、派遣・請負といった雇用契約のあり方に起因していることなどが、明らかになった。
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