20世紀が富の生産と分配に社会的問題が集中した時代であったとするならば、21世紀は、リスクからの回避の仕組みがいかに地域や社会階層に配置されるかが問題となる社会だといえる。NIMBY(Not-In-My-Backyard)という態度や考え方は、環境リスクの社会的受容にかかわる意思決定の阻害要因であるとされてきたが、本研究では、問題に向き合わざるを得なくなった地域社会の現実に焦点をあてる。出来事に対処する地域の巧みな戦術と直面する困難について論じながら、公益性(全体社会)と私権(個別社会)との折り合いのつけ方や負担のあり方について、接合知の可能性という観点から共存の再構築をめぐって検討した。
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