研究課題/領域番号 |
24530623
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
串田 秀也 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70214947)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 精神科医療 / 意思決定 / 会話分析 / 国際研究者交流 / 診察場面 / 社会学 |
研究概要 |
既存データを本研究の目的に即して整理し、国内の関連する研究者とともに少人数のデータセッションやワークショップを通じて分析を進めた。その予備的な分析結果を、日本社会学会およびアメリカ人類学会において発表した。診察場面で医師が処置をすすめた際に患者が示す抵抗について、先行研究では「受動的抵抗」「積極的抵抗」が指摘されているが、精神科外来診察ではこれに加えて、患者の知識や能力に関して医師が示すスタンスへの抵抗も見られることを示した。これにより、精神科外来診察場面において患者が意思決定に参加するやり方に関し、一定の実証的知見が得られた。 調査地である茨城県に出張し、追加データを収集した。既存データよりも若い世代の医師による診察を中心に、連携研究者の協力のもと、約40ケース収集した。また、そのおよそ1/4について、会話分析用の転記を作成した。 会話分析の分析技術向上を図るため、会話分析を国際的に主導する二人の研究者を招聘し、会話分析のトレーニング・ワークショップを開催した。これにより、最先端の会話分析の知見や分析技法を習得することができ、また会話分析の理論や概念についての理解を深めることができた。この成果は、次年度以降の分析において活かされる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のデータとなる「実際の診察や面談場面のビデオ録画」の収集が、おおむね順調に進んでいる。医師と患者の意思決定に関して、既存データをもとに一定の予備的分析成果を得ている。新規に収集したデータを分析するための、分析技法の習得も順調に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に収集したデータの転記と分析を進めるとともに、必要に応じて追加データを収集し、それについても同様の作業を進める。データ転記の速度を上げるため、必要に応じて専門の業者に予備的転記の作成を発注する。連携研究者や研究協力者と連絡を密に取り、データの分析を複眼的に進める。研究成果を2013年7月開催予定の「第4回会話分析と医療場面に関する国際会議」と2014年6月開催予定の「第4回会話分析国際会議」を始めとして、国内外の学会で発表し、関連する学会誌等に論文を投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度と同様、調査旅費や学会発表のための旅費や研究協力・研究指導への謝金に使用するほか、とくに次年度は、データの予備的転記を業者に発注することで、データ整理の速度を上げることを重視したい。
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