研究課題/領域番号 |
24530623
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
串田 秀也 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70214947)
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キーワード | 精神科医療 / 意思決定 / 会話分析 / 診察場面 / 社会学 / 提案 / 依頼 |
研究概要 |
前年度に収集したデータの整理を進め、精神科診察場面で医師と患者がどのように処置を決定するための相互行為を行っているのかについて、中間的な研究成果を得た。第一に、医師は処置を提案するために大きく二つの発話形式を使い分けている。一つは明示的な提案の形式であり、もう一つはある処置を肯定的に評価する形式である。後者は患者の反応を拘束することなく慎重にある処置を提案するのに用いられるのに対し、前者は決定する機が熟したときに用いられ、患者に決定への同意を迫る働きを持つ。第二に、処置決定が患者の方から開始される場合として、処置の依頼の方法を分析した。患者が明示的な依頼を行う場合とより非明示的な発話形式で間接的に依頼を行う場合とを比較し、前者はすでに医師とのあいだで検討されたことのある処置を依頼するとき、後者はまだ検討されていない処置を依頼するときに用いられていることを明らかにした。これらの分析を通じて、処置の提案や依頼という行為が、連鎖環境やその行為を行う権限に応じて、異なる方法で行われ、それらの方法は処置決定のやり方を交渉する手段になっていることを明らかにした。 これらの分析成果は、イギリスおよびアメリカで開催された国際学会で発表するとともに、海外の学術雑誌に投稿中である。また、本年度は、昨年度に収集したデータの整理を進め、連携研究者との会合を通じて分析の方針を調整するとともに、言語学方面の会話分析の専門家を講師に迎えたワークショップを開いて、われわれの分析を一緒に検討してもらった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集はほぼ順調に進み、データ整理もおおむね順調である。中間的な分析結果を学会発表したり論文として投稿したりする状況にあり、成果発表に関してもほぼ予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに収集したデータの未整理分について整理を完成させるとともに、分析の精度をさらに高めて、研究成果の発表を進めていく。2014年6月に開催される「会話分析国際会議」において研究発表を行い、それを踏まえて海外の学術雑誌に論文を投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度中に予定していたデータ整理のための経費が予想よりも安く済んだため、残額が生じた。 次年度のデータ整理のために活用する。
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