研究課題/領域番号 |
24530629
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
北仲 千里 広島大学, ハラスメント相談室, 准教授 (60467785)
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研究分担者 |
横山 美栄子 広島大学, ハラスメント相談室, 教授 (50259660)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アカデミック・ハラスメント / 研究倫理 / オーサーシップ |
研究概要 |
【先行研究や国際基準をめぐる議論のサーベイ】近年行われた各国の先行研究のサーベイを行った。①近年のオーサーシップの実態調査、②オーサーシップの国際基準をめぐる議論のうち、最近の変更、新しい論点などについて検討(ICMJEの最新版改訂のポイントや、RennieらのContributor, Guarantorの議論など )③主要医学誌とそれ以外の主要総合誌(Science, Nature)の実際の投稿規程のあり方について調査した。 【前回アンケート調査の追加分析】1.アンケート調査で回答者が記入した論文のオーサーシップのあり方の設問部分について、分析の方針を見直し、「国際基準合致度」の値を算出しなおすとともに、基準外の著者の特徴について詳しく分析した。(論文投稿準備中) 2. オーサーシップ設問部分の自由回答について分析した。結果:(1)「(実際に)研究に関わる」とはどういうことかをめぐって、回答者の考え方は多様であることがわかった。しかし、最も多い回答群は「研究内容に責任を持つことができる」ことを指摘するものであった。(2)厳密な著者基準への【違和感の表明】の群からは、「研究環境の整備」や「研究費の確保」などの統括・管理的な役割の重視、研究における教育的側面の重視、チーム性の重視など、自然科学系研究者が共有する独自の規範や背景を見出すことができた。(3)「ギフト・オーサー」の存在に対し、【やむを得ない】とする現状肯定的な意見と業績評価への悪影響やその背景となる業績至上主義への批判の両方があった。このような国際的基準と受容の弱さと見解の多様性は、グローバルに発表していく際に、リスクとなる可能性があり、また国際基準とローカルなルールとの板挟みがハラスメントになる可能性がある。 3. 追加インタビュー調査実施に向けて、対象者のデータを整理し、調査内容についての検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた追加分析、特に自由記述分析などは実施することができた。ただ、先行研究のサーベイを行った結果、分析カテゴリーを再編し、集計しなおす必要があることがわかったため、多くの時間をそうした再集計や分析の方針の検討に費やした。その為、予定していた追加のインタビュー調査の実施は、準備段階までとなり、実施は次年度に延期された。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進展は、インタビュー調査によって、日本独自の背景を含め、いかに有効な分析の手掛かりを獲得していけるかどうか、及び、おそらくほとんど先行研究がない、医学系分野の研究組織や権力関係のあり方、医局講座制の考察などにどこまで実質的な成果を見出せるかにかかっているように思われる。 25年度はインタビュー調査の実施を中心に行い、医局講座制への分析の準備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
インタビュー調査を中心に行うので、インタビュー及び学会参加費分の旅費(2名で60万円)、及びインタビュー謝金や記録整理のアルバイト、研究会での講師などに充てる謝金等(申請者二名で計)41万、それ以外はICレコーダーや、書籍、文具、調査の際の郵送などの消耗品費10万円、「その他」10万円は英語論文の校閲費などを予定している。
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