研究課題/領域番号 |
24530630
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
高橋 征仁 山口大学, 人文学部, 教授 (60260676)
|
キーワード | 政治的無関心 / 私生活主義 / 齢間分業 / モジュール性 / 性差 |
研究概要 |
本研究は、人間の政治的関心がモジュール的に構成されており、それぞれのモジュールに異なった加齢効果が見られるという知見を基礎として、政治的関心をめぐる齢間分業のあり方を理論的・実証的に明らかにすることを目的としている。とりわけ多くの政治問題に関して、若者の政治的無関心とシルバーポリティクスというカップリングが成立するのはなぜか、という課題を中心に据えている。 平成25年度は、まず討論民主主義の脆弱性に関して、ヒューリスティックの観点から検討を行った。人々の政治的判断は往々にして直感的であり、こうした特性を理解しなければ、討論民主主義は容易に歪曲されることがわかった。次に、現代日本における中心的な政治的問題として「原発避難」を取り上げ、これに関するインフォーマント調査を行った(地方議員5名、避難者・支援者10名、学生5名)。多くの高齢政治家が「帰還」や「帰郷」に同調的な態度を示していたのに対し、避難者や支援者の側は「子どもの健康」や「移住」という論点に同調する傾向が見られた。また大学生は、判断を保留しているものが多かった。ライフステージごとのこうした政治的関心の差異にかんして、至近要因と究極要因をうまく分別して研究を進めることが重要であると考えている。ここで得られたインタビュー結果を元に、平成26年度は、本調査として、政治的関心についてのライフヒストリー調査(約100名)を企画・実施する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始当初未定であった、具体的な政治的関心のあり方について、「原発避難」を取り上げることが決まった。このテーマは、世代や性別によって、異なる問題として想定されていることがインフォーマント調査で明らかになった。
|
今後の研究の推進方策 |
政治的関心をめぐる世代間ギャップが、日本社会においては、なぜ世代間対立や世代間刷新にはむかわずに、シルバーポリティックスを帰結するのかを、具体的に明らかにしていきたい。
|