研究課題/領域番号 |
24530630
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
高橋 征仁 山口大学, 人文学部, 教授 (60260676)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 政治的無関心 / 私生活主義 / 齢間分業 / モジュール性 / 性差 |
研究実績の概要 |
本研究では、人間の政治的関心がモジュール的に構成されており、それぞれのモジュールに異なった加齢効果が見られるという知見を基礎として、政治的関心をめぐる齢間分業のあり方を理論的・実証的に明らかにすることを目的としている。とくに、多くの政治問題に関して若者の政治的無関心とシルバーポリティックスというカップリングが成立するのは何故か、という課題を中心に据えている。 平成26年度の研究においては、これまで行ってきた国際社会調査プログラムISSPのデータを用いた比較分析を完成させ、危険の少ない社会ほど齢間分業が強化され、若者の配偶関係への投資と高齢者の社会的地位への投資へと機能分化していることを明らかにした。 こうした齢間分業のあり方は、震災後の不安にかんする福島県内でのアンケート調査でも明らかになった。(株)マクロミルのインターネットサーベイのシステムを利用して行った調査では、子どもが小学生以下の母親では子どもの健康リスクを重視し、定住志向が弱まる傾向が見られるのに対して、年長者では近隣関係が重視され、定住志向が強くなる傾向が見られた。こうした変化には、子ども自身の社会的投資も関連していると思われる。というのも、子どもが中学生以上になると定住志向が急に強まる傾向が見られたからである。中学生になると、子どもがそれまで行ってきた学校活動や友人関係への投資を、新たにやり直すことに大きなリスクが伴うからであると考えられる。 このような投資とリスクをめぐる性差や年齢差が、政治意識の加齢変化の基礎メカニズムであると考えられる。最終年度である今年は、こうした観点から研究をまとめることにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
政治的関心のモジュール性をリスク論の観点から裏付けるという見通しを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
リスクの配分構造という観点から、シルバーポリティックスのメカニズムとその問題点を明らかにしたい。
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