研究課題/領域番号 |
24530634
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
牧野 厚史 熊本大学, 文学部, 教授 (10359268)
|
研究分担者 |
徳野 貞雄 熊本大学, 文学部, 教授 (40197877)
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60301355)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 山村 / 環境 |
研究概要 |
研究の初年度にあたる本年度は、これまで得られた情報を整理しながら各自の調査可能領域を明確化し、調査対象地域についての目途をつけることを主な目標とした。そのため、現地調査および、調査その他の機会を利用した分担者との意見交換を重視した。調査の対象としたのは、阿蘇地域、水俣市域、諸塚村村域等の山村集落である。そのほか、九州の山村のなかで、グリーン・ツーリズムなどの環境を用いた顕著な活動が見られる地域についても参考地域として若干の調査を行った。 現地調査では、山村(特に村落組織や家の現状、土地利用、人口移動)に関する資料を重点的に収集し、併せて住民への調査主旨や調査計画についての説明を行なった。さらに、一部の地域では調査票を用いた面接調査を実施し、世帯の家族構成や所得、生産活動の現状についての資料をえた。それらの調査を通して、既存の統計等では把握しにくい、生活用水への湧水等の利用実態や山菜の栽培などの自給のための多様な生業の実態、狩猟の現状や鳥獣への対策等を具体的な生活行動の水準で知ることができたことは本研究にとって重要かつ有意義であった。 それらのデータは、写真および文書などのデータとして蓄積するとともに、研究分担者、調査補助者も含めた打ち合わせの機会を設け、現役農家を含む各方面の専門家からの助言も参考にしながら、調査の進め方を検討した。それらの検討を踏まえて、主に大字の範囲を対象とする航空写真判読による土地利用変遷の把握に着手し、今後のデータ整理および本研究の成果とりまとめの方向についての見通しを得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、以下のように目標を設定していた。調査対象地域について、これまで得られた情報を整理し、共有する。各自の調査可能領域を明確化し調査計画をたてる。同時に社会学以外の分野の文献も含め、山村研究(特に村落組織や家の研究、土地利用についての研究、人口移動に関する研究)の資料などを収集する。初年度の調査においては、それらをふまえて対象村落を具体的に選定し、上記iの聞き取り、iiを開始することである。それらの目標については達成した。さらに、本年度は一部の成果について学会報告等のかたちで公表できる見込みである。そこで(2)と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、引き続き調査対象地区についてのヒアリング、資料収集にあたるとともに、航空写真判読による土地利用変遷とのデータの照合を行うことによって、本研究の主テーマである山村住民の能動性・主体性の分析が可能な現代山村論の構築に有用な知見を可能な限り多く抽出することを目指す。そのために現地調査のみではなく、必要な打ち合わせ、研究会等をも開催し、成果の公表と結びつける。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究は、その性格上、主な研究費として次の三種類の経費が必要である。第1に現地調査を実施する研究旅費、さらに、第2に打ち合わせ等の旅費、第3に航空写真判読に必要な専門家からのアドバイス、判読にかかる謝金等である。 昨年は、地元住民のスケジュールに合わせて調査計画を調整したこと、さらに、写真判読を近隣の研究機関(研究分担者のいる機関)で引き受けてもらうことができたことなどにより、調査旅費および打ち合わせに予定していた旅費をかなり繰り越すことになった。本年度は、それらの経費をも加えることによって、効率的で効果的な調査研究を実施していく。
|