研究課題/領域番号 |
24530635
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研究機関 | 名寄市立大学 |
研究代表者 |
小野寺 理佳 名寄市立大学, 保健福祉学部, 教授 (80185660)
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研究分担者 |
梶井 祥子 札幌大谷大学, 社会学部, 教授 (90369249)
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キーワード | 家族 / 世代間関係 / ステップファミリー / 離婚・再婚 |
研究概要 |
本研究の目的は、ステップファミリーにおける世代間関係、具体的にはステップファミリーの形成に伴うステップ孫(血縁関係のない孫)とステップ祖父母(血縁関係のない祖父母)の関係の実態を明らかにし、ステップファミリー支援に関わる課題について検討することである。ステップファミリーという新しい家族およびそこで展開される新しい世代間関係について知るためには、こうした形の家族が形成される前段階、つまり、離婚の時点からの家族関係の変遷、再婚をめぐる事情、再婚によるステップファミリー形成に至るまでの流れ等も含めてみていくことが重要である。従って、本研究では、平成24年度の調査では、離婚経験者、離婚再婚経験者、および、その子どもや親(祖父母)を対象者とし、平成25年度には、子連れ再婚や連れ子のある人との結婚をめぐる各世代の当事者に焦点をあて、家族関係や世代間関係の再編成のありようやそれに伴う家族との情緒的結びつき、家族規範の変容などについて問うた。その結果、例えば、ステップ祖父母とステップ孫が、その間の世代である親世代を飛び越えて独自に親密な関係を築いているケースや、祖父母が、子世代の離婚後も、離れて暮らす子世代の元・配偶者と実孫のよき理解者となっているケース等が得られた。特に若い孫世代にとっては、親の離婚や再婚は自身の置かれている状況を大きく変えてしまう出来事であるが、そういう状況において、血縁や法律上の間柄を超えたところに関係が営まれ(関係が維持され)サポートが提供されている現実があること、しかしながら(あるいは、それゆえに)、それに関わる人々には様々な悩みや葛藤があることがわかった。離婚や再婚を経て、ステップ孫・ステップ祖父母を含めた家族のネットワークがどのように拡がっているのかが少しずつ明らかになってきたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ステップファミリーについて考えるには、この新しい家族の形が形成された時点を出発点とするのではなく、それ以前の家族関係の変遷を含めてみていくことが重要と考える。そこで、初年度は、ステップファミリー当事者だけではなく、離婚経験者、離婚再婚経験者、および、その子どもや親(祖父母)を調査対象者とし、ステップファミリー形成の前段階にある多様な立場の人々に、家族関係の再編成、世代間関係の変化、自身の置かれた状況、主観的な家族の境界、親子・家族をめぐる規範意識、家族や親族への思いなどを問うた。2年目は、孫、親、祖父母という三世代に注目するため、6つの条件、①子どものある相手と結婚したひと②子連れで再婚したひと③娘、息子が子どものある人と結婚した親(祖父母)④娘、息子が子連れで再婚した親(祖父母)⑤子どものある人と再婚した親がいるひと(18歳以上)⑥自分を連れて再婚した親がいるひと(18歳以上)に該当する人々を調査対象者とし、上記と同様の内容の質問をした。これらの調査において、離婚経験者が、再婚の有無にかかわらず、その後どういったプロセスを経て新しい家族関係構築に向かっていくのか(あるいは、向かっていかないのか)、新しい家族関係構築に際して何が問題となっているのか、問題意識が各世代の立場によってどのように異なるのか、その問題にはどのような対応がされているのか、そうした対応のなかで規範意識や感情はどのように変わっていくのか(あるいは、変わらないのか)、といったことを知ることができる。特に、家族の再編成によって、それまでとは異なる関係が生まれ、新しいサポート提供者が現れ、そこに親密な関係が新たに築かれるプロセスに注目している。そのための調査データが得られたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまで2年間にわたって面接調査をおこなってきた。1年目は、ステップファミリー当事者だけではなく、その「予備軍」である離婚経験者・離婚再婚経験者や、そうした経験者と親密あるいは血縁的・法的に近い人々等も含めて調査対象者とし、2年目は、上記の6条件に該当する人々を対象者とした。今年度は、2年間の調査データを整理し、分析を進める。分析にあたっては、調査対象者を、孫世代3グループ(A親の離婚や再婚を経験した18歳以上、B子どものある人と再婚した親をもつ18歳以上、C自分を連れて再婚した親をもつ18歳以上)、親世代3グループ(D自身が離婚を経験した、E子どものある人と結婚した、F子連れで再婚した)、祖父母世代2グループ(G娘、息子が子どものある人と結婚した、H娘、息子が子連れで再婚した)に分け、そのうえで、「離婚・再婚に際してのソーシャルサポートの実態」と「離婚・再婚の経験による家族に関わる規範意識の変化」というふたつの軸にそって個々のデータを整理し、世代間の関係に注目しながら、グループ毎の比較検討をおこなう。同一人が複数の立場の経験者である場合も少なからずあるため、立場の違いが語りの内容にどのように映し出されているのかをとらえていきたい。この作業をするなかで、離婚と再婚を経ての家族の在り方のひとつの選択、あるいは、ひとつの結果としてのステップファミリーの実態を明らかにし、こうした形の家族に対する支援を考えていきたい。併せて、離婚、再婚、ステップファミリー、ステップファミリーにおける世代間関係について人々がどのようなイメージをもち、どのような理解をしているのかを探るための補足調査を実施し、行政諸機関がおこなう家族支援における離婚と再婚、ステップファミリーの取り扱いについての情報を収集し、参照する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度と2年目は、面接調査を蓄積することに精力を注ぎ、データ整理や入力作業は2年目以降に本格化された。2年目からは、研究分担者が加わり、調査を継続しながら、データの整理と入力に取り組み、分析の準備を進めている。インタビュー対象者の都合により調査日程が変わり、テープ起こしの作業計画もそれに従って逐次変更されたため、こうした事態となった。 旅費は、資料・情報の収集、データの整理・分析に関する打ち合わせ・会議のための交通費として計上した。補足調査実施を計画しているため、調査設営のための打ち合わせや会議、調査実施のための旅費も必要となる。謝金は、この補足調査の準備や遂行に伴う事務的作業、調査データの整理と入力作業に充てられる。この他、調査票印刷費、調査に関する書類や報告書(報告資料)の印刷費、調査票や各種書類の郵送費、打ち合わせの際の会議費等を計上した。
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