平成26年度は、これまでの調査で得られたデータの整理と分析の作業を中心に進めた。調査対象者を、孫世代3グループ(A親の離婚や再婚を経験した18歳以上、B子どものある人と再婚した親をもつ18歳以上、C自分を連れて再婚した親をもつ18歳以上)、親世代3グループ(D自身が離婚を経験した、E子どものある人と結婚した、F子連れで再婚した)、祖父母世代2グループ(G娘、息子が子どものある人と結婚した、H娘、息子が子連れで再婚した)に分け、「離婚・再婚に際してのソーシャルサポートの実態」と「離婚・再婚の経験による家族に関わる規範意識の変化」というふたつの軸にそって個々のデータを整理し、世代間の関係に注目しながら検討を進めた。その際、ソーシャルサポートを道具的・交流的・情緒的の3種類とし、多様な関係性の中で授受されているサポート、さらに、実際に授受されていないが期待されているサポート(予期されているサポート)についても捉えた。サポートの授受をめぐる感情(満足感、安心感、あるいは、欠如感、孤独感等)も抽出した。規範意識としては、「親というもの」についての語り、老親への扶養意識についての語り、義理の親子関係についての語り、家族への帰属意識についての語り、の4点について検討した。 その結果、祖父母世代は、未成年の孫世代に対し、時には血縁や姻縁を超えて主体的・選好的に交流や支援を行っており、結果として祖父母を紐帯とする多様な多世代関係が形成されていることが明らかとなった。特に結婚や離婚が繰り返され家族関係が複雑化するとき、血縁の有無にかかわらず、祖父母世代とのつながりが、孫世代だけでなく親世代にとっても拠りどころとなることが示唆された。わが国は家族に血のつながりを求める価値観が強いといわれるが、それとは異なるつながり方が見いだせた。
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